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逆行物語 真四部~下手の考え休むに似たり~

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麗乃=マイン~変わり行く過去~



 何、今の…。3つの丸い光に呆然としていると、それが何処かに遠ざかって行った。ハッとして追い掛けるも、追い付けない。
 気が付けば、世界の巻き戻りが終わっていて、私はエーレンフェストの下町の、家族の元にいた。
 そこでは生まれたばかりの“マイン”が泣いていた。

 “マイン”が寝込んだ5才の時。私にだけ見える光を放った。
【!?】
 3回目には無かった筈だ。そして。彼女は呟いた。
「本。本が読みたい。」
 と。あれ? 3回目ってこんな感じだったっけ? 疑問の答えは直ぐに出た。この“マイン”、何か可笑しいって。
 だって、目覚めて3日後の夜に家出したんだよ。しかも転移陣で。驚きながらも後を追ったら、フェルディナンド達と会っている。
「本! 読ませて下さいっ!」
 ユストクスとエックハルト兄様とが呆然としている中、フェルディナンドが“マイン”を抱き抱え、屋敷へ入っていった。
 書庫に“マイン”を入れ、ラザファムに飲み物を用意させて、フェルディナンドは盗聴防止を使用した。勿論、私は聞こえる。
「エーレンフェストを出る。ついてくるか?」
 ぎょっとした一同に、フェルディナンドは続ける。
「ついて来るなら、エックハルトはハイデマリーを妊娠させるな。常に毒物を確認出来る様、解毒剤を何時でも使える体調でいろ。ユストクスはある素材を取って来て貰う。」
 何を言われたか、理解が出来ない様子だったが、徐に顔が変わっていく。
「フェルディナンド様がお望みの場が何処であろうと、共に行きます。ハイデマリーも同様でしょう。」
「私も同じです。どの様な素材をお探しですか?」
 多分、2人は家族を、家を捨てる覚悟をしたのだと思う。でも。
「恐らく…、其方等の家には何の罰則も行くまい。それどころでは無くなるからな。」
 怪訝な瞳だ。私も多分、同じ顔をしていたと思う。
「素材はダンケルフェルガーの中心部の一部にしか無いモノと同じ働きをする素材だ。エーレンフェストのある場所にしか無い。」
 地図を取り出し、説明する。素材の花の絵を描いて見せていた。
「ダンケルフェルガーに行くのですか?」
「そうだ。誰にも知られてはならぬ。ジルヴェスターやカルステッドにもな。」
 それって…、お父様や養父様を裏切るって事!? フェルディナンドがそんな形で!? 
「「……畏まりました。」」
 2人供、固く返事をした。
「それと…、今、書庫にいる“マイン”だが、ダンケルフェルガーで貴族とし、将来は私の妻とする。」
 えええええええええっ!!!!!!!!!! 
「“マイン”は神に愛された娘だ。既にシュタープを会得し、グルトリスハイトを所持している。」
 驚いている一同に更なる情報が投下された。まあユストクスやエックハルト兄様の様子を確認する余裕は無いのだけれど。