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逆行物語 真四部~下手の考え休むに似たり~

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麗乃=マイン~エーレンフェスト出奔~



 あれよあれよと言う間に、フェルディナンドは秘密裏にエーレンフェストを出ていく準備(工作とも言うね…)を整えた。因みに“マイン”はと言うと、本を読んでばかりいる。う、羨ましくなんかないんだからねっ!!!!

 エーレンフェスト出奔直前。養父様が呼び出されていた。これは誰もが全く聞かされていなかったし、理由が解らない、と言った様相を“マイン”とフェルディナンド以外、全員醸し出していた。勿論、私もだ。
 フェルディナンドが隠蔽の魔術を使い、皆の姿を隠す。待ち合わせである、現在地の森に養父様が姿を現した。
 お父様も居ない事から、1人、城から抜け出した(抜け出しにはお父様の手を借りたのかも知れないけど)のだろうと推測出来る。
「フェルディナンド。」
「シュラートラウムの祝福をジルヴェスター様に。」
 養父様が声を掛けると同時に“マイン”がシュタープを取り出し、流れる様に唱えた。
「シュラートラウムの祝福をジルヴェスターに。」
 フェルディナンドが更に重ね掛けしていく。倒れる養父様を支えながら、その後も重ね掛けし、完全に意識を喪わせた。
「ユストクス、用意させた子供様の衣類、一式持ってこい。」
 フェルディナンドにしては随分、乱暴な言い方だった。そう言えば確かに、そんな事を命じていた。何の為か、さっぱりだったし、今も良く解らない。だけど次の瞬間、理解した。そして余計に混乱した。
 魔方陣が書かれた魔紙を、横に寝かせた養父様の身体に置くと、魔力を込めた。

 ――養父様が少年になった。

 「ラザファム、ユストクス、ジルヴェスターを着替えさせろ。」
 唖然としたままの様子に気遣う事もなく、命じた(既に隠蔽の術を切っている)フェルディナンドの傍で、“マイン”がレッサー君を作っている。
「私は先に乗っておきますね。ハイデマリー、貴方もどうぞ。」
 その一言を告げて、騎獣に乗り込む。まあ…、そうなるよね。成人男性の着替えが始まるんだから。ハイデマリーはフェルディナンドの顔を見るが、養父様の裸を見たいのか、と言う内容と思われる(貴族用語だから多分)事を言われ、エックハルト兄様がハイデマリーの視界を覆い隠す為に、護衛の両手が塞がれる等は戴けない、と訴えた為、ハイデマリーはレッサー君の中に乗り込んだ。
「私の横にどうぞ。」
 何処に座るか迷っていたからか、“マイン”が助手席に座る様に言った。
 言葉遣いも態度も平民のモノでは無いが、フェルディナンドが選んだ相手であり、間違いなく上級以上に、領主候補生に迎え入れられても可笑しくない、と言われ、今から各々で慣れておけと指示された為、受け入れる事に否やは無い。
 グルトリスハイトの所持している事もあり、こんな子供がフェルディナンド様の相手なのか、と言う疑問も無い様だ。
「私が隣で宜しいのですか?」
 フェルディナンドが座る場所なのではないのか、と聞いているのだろう。