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逆行物語 真四部~下手の考え休むに似たり~

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麗乃=マイン~兄様の言いたい事~



 確かに…。って、あれ? 
【と言う事はフェルディナンドも?】
「ああ。8人の内、5人(1度目の4人+2度目のゲオルギーネ)は嫌い、2人(ラオブルートとレオンツィオ)は毒にも薬にも思わぬ無関心、好意は2度目のジェルヴァージオ1人。好意で嫌悪を1つ相殺して、嫌悪4人と参考にならぬ無関心2人。嫌悪が優先される。」
【…養父様も…、無関心6人より2人のゲオルギーネの歪んだ嫌悪が優先されたと言う事ですね?】
「……ああ、そうだ。」
 成程…、それであんな事に…。
「一方で私は其方の“知識”に大人になった自分が存在する。よってオマケから、私視点をインストールした様なモノだ。」
 考え落ちそうな私を浮上させる為か、兄様は自分の事を話し出す。何か違和感なく、現代日本用語がチラホラ出てくるのに感心してしまう。
「私は其方の…、麗乃の兄だ。妹を不幸にしたくない。叔父上にも感謝しているし、あの様な最後で終わって欲しくない。
 だから、私は其方に考えて欲しいのだ。休めた心で、正常な判断をして欲しい事がある。」
【何でしょう?】
 考える時はともかく、聞くのは今で構わない。
「其方は叔父上と共に幸せに生きる事が本当に出来ると思っているか、だ。」
 私は思ってもみない事を言われたとしか感じなかった。
「其方が叔父上より長生きするか、或いは名捧げをし合って、共に逝くかすれば、全て解決だと思っているのなら、私は違うと思うのだ。」
【解ってますよ。】
 正直、何だ、そんな事かと思った。
【私が死んだ後、フェルディナンドがそれを乗り越えてくれていれば、それで良かったのです。…問題がそれだけで全て解決する訳ではありませんが、何か変わったと思います。】
 私は兄様に安心させる様に微笑んだ。
【解っています。…最終的に願いが叶って、フェルディナンドと再び生き直す事が出来た時…、どんな答えを出すか解りませんが、どんな答えを出しても、フェルディナンドと幸せになる人生を諦める事はありません。
 精一杯、努力しますし、彼の人生に責任を持ちます。】
 私が揺れる事が無いのを見て、兄様は言った。
「余計な世話だったな。」
 そんな事、と答えようとした私に兄様は続けた。
「ああ、そうだ。話は変わるが、レッサーパンダは確かに可愛いな。」
 !!!!!!
【そうでしょう!!!! レッサー君は可愛いのですっ!!!!】
 やっと理解者がっ!!
「いや、レッサー君は可愛くない。」
 そんなっ!!!!
【何故ですかっ!!!!】
「デフォルメもレッサー君も理解した。ウサギならば同調出来た。だがそれはウサギ≒シュミルだからだ。
 其方の感性の基準は日本だが、私の感性の基準はユルゲンシュミットなのだ。だからレッサーパンダ≒レッサー君な其方と違い、私はグリュン≒レッサー君なのだ。
 そして…、教えよう。ユルゲンシュミット人にとってのグリュンとは…、日本人にとっては…っ!! それに対する嫌悪感はっ!!

 グリュン=ゴキブリだっ!!!!!!!!!!」


 その後の記憶は曖昧だ。気が付いたら私はクラッセンブルクに居たので、演劇観衆していた。演劇も良いかも…。オペラとかミュージカルとかだったら、流行りやすいんじゃない? 流行ったら、劇と相乗効果で楽典とか小説とか…、あっ、漫画もありかも!! 本が増えたらいやっふぅ!!!!!!
 …そんなこんなでしっかりと心を休ませて貰った。時間が巻き戻るのが解ったから、兄様に処に戻ろっと。