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逆行物語 真二部~エーレンフェストの為に~

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ヴィルフリート視点~エーレンフェストの安寧~



 麗乃とも“ローゼマイン”とも上手くやらねばならぬ。そして記憶を覗かれる事があってはならない。いざと言う時は本格的に操れば良いが、それは余りにも気持ち悪いと感じるだろう。だからそれは無いとして考える。
 無論、エーレンフェストの為に、が大前提だ。
 父上は“マイン”を“ローゼマイン”にした。エーレンフェストの為に聖女とした。ならば私は“ローゼマイン”の婚約者になるだろう。如何に努力しようと、最早主力派閥が変わった以上、私をアウブにしたいなら、それが一番だ。
 次期アウブから下りるとしても、今度はライゼガングが“ローゼマイン”を押すだろう。父上は味方の派閥を切り捨て、敵方の派閥に与するには、ライゼガングの言いなりになるしかない。ライゼガングの嫁を押し付けられ、子作りを強制される。父上の閨の話は明らかに弱みだし、無理をして子が出来たとしたら、私だけでなく、シャルロッテやメルヒオールも排除体制になるだろう。
 ローゼマイン・エーレンフェストの為に、万全な状態を取ろうとするだろう。
 1度目でギリギリまで私が次期アウブとして父上が粘った事、ブリュンヒルデが第二夫人だった事、ローゼマインがエーレンフェストを出た事、それらが重なったから、メルヒオールが次期アウブと一応見なされていた訳だ。
 今回は……。エーレンフェストを乱さぬ為には、ヴェローニカ派閥をジルヴェスター派閥に変えなければならぬ。成人世代は無理だろう。“ローゼマイン”を守る為には致し方無い。ならば“ローゼマイン”の甘い提案を利用するか。その為にはどう事件を扱うか……。私は綿密な計画や予想を立て、事に当たる。
 私は“ローゼマイン”と星を結び、第一夫人として大切に接する必要もあるから、彼女に尽くさねばならない。完全に側近達は次期アウブの私が下だと勘違いしてきているが、“ローゼマイン”は長生きは出来ぬ。それに私を排斥しようとする動きに積極的な賛同はせぬだろう。
 時折、ハルトムートが牽制を仕掛けて来るが、1度目の様に天狗になって、役割を逸脱する程ではない。うざったいが、無視出来る程度だ。
 …何だかんだ言って、派閥を意識しているハルトムートは、ローゼマイン派閥を作る事に執心している。それをアウブ一族と反目させた訳だが、本人に何処まで自覚があるのか。エーレンフェストの事を考えての事なら、それも決して間違えている訳では無いのだが。
 結局、ハルトムートはエーレンフェストの事等、欠片も考えておらぬ。叔父上の様な敵だらけの主に支えるなら、そんな考えも致し方無いが、“ローゼマイン”の立場の主に付くには余りに自分勝手過ぎる。あれはエーレンフェストには勿論、“ローゼマイン”に忠誠を誓っているのではない。ハルトムートが忠誠を誓っているのは、理想の主だ。妄想の産物だ。だから、自分の持ち物だと勘違いして、勝手に婚約者や家族まで、その物差しで図り、ずれる事を許さない。まあ潰す程でもない。“ローゼマイン”が死ねば、勝手に死ぬだろう。
 ハルトムートさえいなくなれば、後は切るにしてもやりやすい。
 …正直、叔父上を“ローゼマイン”と結び付ける事は出来ぬのだから、いっそ無駄に死んでくれても構わぬ。恩はあれど、エーレンフェストを無自覚に乱した人だ、変人な規格外だし、切っ掛けがあれば、また容易に乱す。だが麗乃との関係を思えば、見捨てる選択はない。
 有り難い事に私の叔父上を父上に押し付ける作戦は上手くいった。“ローゼマイン”がいない方が、まともな判断をしてくれるので、漸く息を吐ける。

 ……それにしてもまさかディートリンデ様が味方になるとは、な…。

 処で時間は巻き戻るだろうか? 

続く