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逆行物語 第六部~シャルロッテ~

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優秀なお兄様とお姉様と凡庸な私



 物心つく頃、お兄様とお会いした事があります。記憶に殆ど残っていませんが、側近達が挙って我儘だった(そのままの言葉ではありません)、と溢し、私の方が優秀だと言われる為か、何時しか次期領主を目指したいと言う想いが芽生えました。
 側近達は当初、私なら次期領主の器だとは言いませんでしたが、お兄様が如何に怠惰であるかを語り、とうとう城からお祖母様が居なくなったのを期に、お兄様も城から離れる事となり、成長したメルヒオールより優れた成績を、と言われる様になりました。
 しかし、洗礼式でお兄様が次期領主として内定を受け、更にお姉様の存在が公式となり、新産業を任されるとなると、側近達がより焦る様になりました。

 ――何時の間にあれほど優秀になられた? 

 ――フェルディナンド様のご教育の賜だ!

 ――ローゼマイン様は一体何なんだ!?

 ――あの幼さで、どれだけ領地に貢献しているんだ!!? 

 次から次へと変わる領内で、私は今まであった自信と言うモノが崩れて行くのが解ります。私も洗礼式を終えれば、もっと現実を見る事になるでしょう。
 極め付けはお二人の御披露目でのお話です。お姉様の演奏技量と作曲と祝福…、お兄様のお姉様を越える演奏技量と作詞作曲…。
 私、胃が痛くなってきました…。

 私の洗礼式はお兄様が行われました。お兄様は大人に囲まれても、全く臆する事もなく、寧ろ率いておりました。
 人を使う練習をしている私とは、比べ物になりません。私、きっとお兄様より、ずっと出来が悪いのです。

 お腹が痛い…。

 しくしく痛むのを我慢して、私は微笑みます。せめて恥ずかしい真似はすまいと。

 フェシュピールの御披露目は滞りありませんでした。…本当にそれだけです。在り来たりな曲、無難な難易度…、お兄様やお姉様とは比べ物になりません。期待外れ、そんな雰囲気を感じてしまうのは、考え過ぎかも知れませんが、こうも気分が悪いと悪い方に捉えてしまうものです。
 私は明日から神殿に行き、青色を纏いますが、果たして何処まで出来るのでしょうか…。

 神殿で私のやるべき事を叔父様から渡された木札で確認するのですが…。
「何と言う…、こんな事をお2人は詰め込まれていたとは…、」
 呆然とした声が私の周囲で上がります。正直、理解が難しい分もあるのですが、莫大な課題がある事は解り過ぎるくらい解りました。
 お兄様やお姉様は洗礼式前から、鍛え上げられ、成果を出してきたのでしょう。
 …私、やっぱり自信が持てません。頭がクラクラしています。お腹は相変わらず痛いです。景色が揺れて、歪んで気持ち悪いです。

 …いけない、しっかりしないと…。

 私はぐっと笑顔に力を入れました。