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逆行物語 第六部~シャルロッテ~

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お茶会~前編~



 お茶会に誘われた私は、お姉様のお部屋へ灰色の側近を連れて、向かいます。お姉様のお部屋は孤児院長室です。
 城の側近達は神殿への出入りを嫌がる事もあり、初日以外は城へ帰りました。なので神殿に居るのは灰色と騎士団から付けられた、下級、若しくは下級に近い中級騎士です。
 神殿は灰色を始め、新産業関連で平民も来訪する事もあり、穏やかで平民を蔑まない貴族を選んでいるそうです。
「ようこそ、シャルロッテ。」
 孤児院長室ではお姉様が私を歓迎して下さいます。程無くお兄様もやって来られて、兄妹のお茶会が始まりました。お2人共、私を心配して下さり、癒しを掛けて下さいました。
 私が重圧に潰れそうになっている事に気付いている様です。お2人共、“私は私らしく、出来る範囲で頑張れば良い”と言う内容を、言葉を変えて何度か励まして下さいましたが、隠していた筈の事を見抜かれ、私は非常にいたたまれない心地でございました。
「遅れて済まぬ。」
 そこへお父様とお母様が叔父様に連れられる形で部屋へ来られました。何も聞いていないので驚きました。
「いえ、お疲れ様でございます。アーレンスバッハは如何でした?」
 お姉様がいそいそと灰色を指示を出しながら、お父様達に伺います。
 それに答えながらお父様が椅子に座られました。

 …お姉様、どうしてお膝に乗られているのです? 
 …叔父様、どうしてお姉様の髪を弄っているのです? そのせいで矢鱈とお父様との距離が可笑しな程近いではありませんか!? 
 お父様、どうして膝にお姉様を乗せたままなのですか!!? 叔父様がお母様よりお父様に近くなる位置に椅子を引いてまで、距離を詰めて、矢鱈とお姉様の髪を弄っているのに、何も仰られないのですかっ!!? 
 お母様、お兄様、何故、注意の1つもしないのですっ!!?? 

 混乱している私に、お兄様がお父様達が予定より早く、アーレンスバッハより帰られた為、少し驚かせようと思ったと仰いましたが、どうにも目の前の光景に釘付けになってしまいます。
 お母様の何処か遠い目は、“慣れなさい”と語っておりました。
 お姉様はお父様に叔母様ーアーレンスバッハに嫁いだと言う、お父様のお姉様、ゲオルギーネ様でございますーの葬儀でお疲れになっていないかを確認しておられました。
 お父様は少し目を伏せながら、大丈夫と答えており、叔父様が私達とお茶をすれば、回復も早いと仰りました。
 留守の間、変わりなかったかどうかを確認しているお父様の目は、私が見たことがないと思う程、柔らかく、緩く、お姉様への愛情を惜し気もなく、曝け出しておりました。
 もし、お兄様にも同じ様な態度であられたら、優秀だからだ、と考えたでしょうか。
 でも目の前の光景では、お父様の視線はお姉様にしか向かっておりません。