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逆行物語 第六部~父親達~

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ギュンター~マインの洗礼式~



 俺の娘、マインは神様に愛され過ぎている。何時も神様に手招きされていて、何度も危ない時を乗り越えた。
 5才の時、もうほんとに駄目かも知れないと思ったが、それを乗り越えた辺りから少しずつ元気になっていった。
 変わった事もする様になっていったが、それが俺達を助ける事も多かった。マインは頭が良いらしい。何時の間にか計算や文字の読み書きが出来る様になって、門で手伝いをする事も多い。
 隣のルッツを巻き込んで、オットーを通し、ベンノとか言う大商人と繋がって、びっくりする金額を稼いでた。
 ルッツの家族と話し合い、ルッツを相棒にする許可も貰って、かなり動いていた。
 珠に熱を出したが、頻度は以前より減った。

 そうして時が経ち、マインは洗礼式を迎えた。感慨深いモノを感じながら、終わりを待っていると、此方に全速力で駈けてくるルッツがいた。隣にはマインの姿が無い。
「おじさん!! 大変だっ!!」
 息を切らせるルッツの顔色は悪い。
「どうしたっ!! マインに何かあったのかっ!!?」
 ここまで顔色を変えてるルッツに不安が沸き上がる。
「これっ!!」
 そんな俺に突き出されたのは何か高そうな紙だった。
「な、何だっ!!」
 それこそお貴族様が使う様な、丸められた紙を拡げる。
「ギュンター、読めるか?」
 何時の間にやら、側にいるディードに話し掛けられた。読める訳あるかっ!!
「ルッツ、読んでくれ。」
 マインに字を教えられていたルッツに頼むと、ルッツは首を振った。
「家、帰ってからの方が良いと思う。」
 と言われ、俺達は顔を見合わせ、それから出来る限り、早足で家に向かった。嫌な予感がする…。

 マインの熱は身食いと呼ばれる者の症状で、驚いた事に魔力だと言う。魔力は魔術具が無いと、殆ど外に出せないらしいが、成長と共にドンドン増えていく。やがて魔力は身体を食い破り、保持者を死に至らしめる。
 神官の中にマインの魔力に気付いた人がいて、その人がマインの溜まっている魔力を抜いてくれているらしい。
 魔力の負担が軽くなれば、健康体になれると言う。
 身体に溜まった魔力を抜いて、その状態で数日過ごさせ、慣れさせてから、家に送り届ける、と言う事らしい。

 …有り難いがお貴族様がなんでそこまで? 

 俺達家族の疑問の答えは、驚くべきものだった。