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君を守りたいFBIと無意識に頼っているゼロ

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降谷はガラスで派手に切った左腕にハンカチで強く圧迫止血を施して、心なしか重く感じる足を動かし、車がひしめき合って渋滞しているエッジ・オブ・オーシャンと対岸を結ぶ橋を歩いて渡っていた。

IOTテロは最小限の被害で留める事が出来た。
軌道が狂って落下してくる『白鳥』のデータケースの落下点も、小さな協力者のおかげで海上へ変更できた。
その協力者が大怪我をしない様に、我が身で庇って無事に着地した。
愛車と着地点となったビルの窓ガラスは大破してしまったが・・・。

諸々後手に回ってしまった感はあるが、目的の大半は果たせたと自負している。
「ああ、あいつの回収も依頼しないといけないなぁ。俺の無謀ともいえる運転に気丈に答えてくれていたんだから。各所の監視カメラの画像の消去も・・・。残務処理、膨大だぁ」
これからやらなければならない事柄を上げていくと気が遠くなる気がしてくる。
いや、実際に気が遠くなりつつある様だ。
視界が少しずつ狭まっている。
「これ・・・やばいか?」
前へ進もうとする足が、砂や雪に阻まれているように重くなっている。
「風見に・・・」
そう呟いたのを最後に、降谷の上体から力が抜けてゆき、カメラが焦点を引き絞る様に視界がフェードアウトする。
(マズイ!)
そうぼんやりと思いはするものの、崩れ落ちる体を持ち直す事が出来ない降谷の鼻腔をくすぐったのは、安堵感と憎悪の相反する感情を齎す香りだった。
(あ か い  ?)
意識を失う直前の脳の認識は、それが最後だった。


力が抜けた降谷の体がアスファルトにぶつかる事はなく、力強い男の腕に抱き留められた。

「まったく! ボウヤと言い君と言い、無茶無謀の総合商事だな。お疲れ、降谷君」

抱き留めた男の口からため息を乗せた言葉がこぼれたが、それを降谷の耳が拾う事はその夜は無かった。