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機動戦士ガンダムRSD 第27話 刹那の夢

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 ミネルバは、ディオキア基地にて3度補給を受けていた。
「わが軍とオーブ軍のモビルスーツ消耗は、かなり激しいです。
さらにオーブ軍は、護衛艦隊を全滅されるという最悪な状況に陥りました」
 戦闘ブリッジにてアーサー副長がタリア艦長に被害を報告した。
「これ直せって言っても無理だよな」
 モビルスーツデッキでは、ヴィーノ軍曹がヨウラン軍曹に愚痴った。
「死神らしいぜ、やったの」
 それを聞いたヴィーノ軍曹がため息をついた。
「さすがのフェイスもバッテリー機じゃ無理だよな。
ジャスティスがあれば」
 ヨウラン軍曹は、ないものねだりをした。
「アビスに量産型フリーダムと量産型ジャスティスが1機ずつ、ムラサメ、ウィンダム、ストライクダガー、アストレイが多数撃墜でセイバー、フリーダム、カオス、インパルスが大破という厳しい状況です」
 アーサー副長は、タリア艦長にモビルスーツの消耗状況を報告した。
「作戦は失敗するわ、モビルスーツは多数失うわ、護衛艦隊は全滅するわで散々ね。
またここで修理と補給待ちというのもつらいけど。
仕方ないわね」
 タリア艦長は、あきらめたように言った。
「はあ」
 アーサー副長は、ため息ともいえる返答をした。
そのアーサー副長にタリア艦長が報告用ディスプレイを渡した。
「毎度毎度いやな戦闘だわ。
作戦は、悪くないのにいざ実戦となるとうまくいかない。
まあそれが戦闘というものなのだから仕方ないけど。
対空対潜、警戒は厳に。
後は、お願いね」
 タリア艦長は、アーサー副長に愚痴ると後を任せた。
「は」
 アーサー副艦長たちが敬礼した。
タリア艦長は、そのままブリッジを出た。

                                  ※

 アークエンジェルでは、ムラサメの補給と修理が行われていた。
トダカ一佐の前で生き残ったクラマ一尉とオーブ兵士たちが謝罪しようとしていた。
「『もはやない命と考えているのならば思い同じくするものとともにアークエンジェルかミネルバに行け。
お前たちは、この先の戦場にて戦え。それが後にオーブを昔の国に戻す唯一の方法なのだ。
トダカ一佐とキサカ一佐がそれができる唯一の軍人なのだ。
しかし彼らも一人では、何もできない。
だからお前たちは、そのときの力になってほしい
のだ。これまでの戦闘で無念に散っていった兵士たちのためにも』と。
それがティリング三佐の最後の言葉でした」
 トダカ一佐は、泣き出しそうな胸の痛みを感じた。
「われらの力不足で作戦を成功できず多数の艦と将兵を失った事は、誠にお詫びのしようもございません」
 クラマ一尉とオーブ兵士は、頭を下げた。
「われらは、これよりたとえこの身が朽ち果てようとオーブのために全力を尽くす所存であります。
これがティリング三佐への唯一の応えです」
 オーブ兵士は、共倒れになってでもサオトメを倒し生き残ろうと決意した。
「クラマ一尉」
 トダカ一佐は、頭を下げるクラマ一尉の両肩を両手でつかんだ。
「私の方こそすまない。
すまない。
私が力不足だったばかりにオーブの大事な志あるものたちを犬死させてしまい」
 トダカ一佐は、泣き出してしまった。
それにつられるように周りのオーブ兵士たちも泣き出してしまった。
トダカ一佐にキラ准将が近づいてきた。
「もうなかないでください」
 キラ准将がトダカ一佐を慰めた。
「僕は、地球軍ですがこのオーブの状況は間違っていると思います。
オーブは、前みたいに中立を貫くべきです。
そのために僕は、この戦争が終わったらデュランダル大統領に直接交渉を行おうと考えています。
そのためにも今は、生きなければなりません。
今僕らがやらなければならないのは、生きることです。
死んで世界を変えることができるのは、権力者だけです。
僕らみたいな平凡な人は、生きなければ世界を変えることはできません。
だから生き残りましょう。
それが死んでいった人たちへの応えだと思います」
 トダカ一佐たちの表情が少し明るくなった。
「そうですね。
これからのためにもよろしくお願いがいします」
 トダカ一佐たちは、キラ准将に敬礼した。
キラ准将は、少し戸惑った。

                                   ※

「超音波でコミュニケーションしている動物は、血縁関係が遠いとコミュニケーションが難しいと言われている」
 アイリス曹長がタブレットで調べた鯨の情報をミサキ中尉とケイト中尉に話した。
「困ったちゃんだね」
 ミサキ中尉が突っ込んだ。
「困ったちゃんだ」
 ケイト中尉が復唱した。
「私は親戚から変わったねって言われてる」
 ミサキ中尉が告白した。
アイリス曹長は、あまり興味なく答えた。
「私は、大丈夫って言われる」
 ケイト中尉も告白した。
アイリス曹長は、なんて答えていいかわからなかった。
「ちなみに鯨のDNAは、カバに近いんです」
 アイリス曹長の言葉に2人は、絶句した。
「カバ?
鯨って誰?」
 ミサキ中尉は、若干混乱していた。
「鯨です」
 アイリス曹長が冷静に突っ込んだ。
「ちなみに胃は、4つあるそうです」
 アイリス曹長の言葉に2人は、再び絶句した。
「4つ?
鯨って何星人?」
 ミサキ中尉は、なお混乱していた。
「地球の動物です」
 アイリス曹長が再び冷静に突っ込んだ。
「鯨。
結局よくわからないね」
 ミサキ中尉があきらめたように言った。
「いろいろとすごすぎるな」
 アイリス曹長たちは、脱帽していた。
「まとまりのない結論ですね」
 結果一般人には、理解できないくらい鯨は別世界の生物だという結論に至った。
「なんか眠い」
 帰り道ものすごく脳を使ったのかミサキ中尉は、すさまじい睡魔に襲われたので伸びをした。

 朝アイリス曹長は、一晩中小説を読んでいた。
「やばい朝だ」
 アイリス曹長は、後悔した。
 アイリス曹長は、研修学校の教室で大きなあくびをした。
「どうした?
来てるね」
 ミサキ中尉がアイリス曹長を心配した。
「時代小説が面白くて朝読み終わった」
 アイリス曹長が半分寝ながら答えた。
「眠い?」
 ミサキ中尉の問いかけにアイリス曹長は、答えなかった。
「どのくらい眠い?」
 ミサキ中尉が質問した。
「泣いてません」
 しかし意味をなさない答えが返ってきた。
「アホだ。
アホアイリスだ」
 その姿に2人ともドン引きした。
「今日哨戒任務ってありましたっけ?」
 アイリス曹長が出撃の有無を聞いてきた。
「今日は、出撃任務はないよ」
 ミサキ中尉が答えた。
「アイリスが眠たすぎてあほになっちゃったよ」
 ミサキ中尉がアイリス曹長の顔の前で手を振りながら言った。
「大丈夫だよ。
何があっても私たちが守ってサオトメ大佐と添い遂げられるようにするよ」
 ミサキ中尉がアイリス曹長の頭をなでながらそういった。
アイリス曹長は、それがうっとおしくて手で払おうとしていた。

                                 ※

 タリア艦長は、シャワーを浴びていた。

                                 ※