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Lovin’you afterCCA13

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きっぱり言い切るシャアに、レズンがゲンナリとした表情を浮かべる。
「あ、あの…母は…?」
そんな二人の会話を遮るようにカイルが声を掛ける。
「ああ、起きてるよ。まぁ入りなよ」
二人を玄関の中の入れるとレズンがアムロを呼びに部屋に行く。
そして状況を聞いたアムロが部屋から慌てて飛び出して来た。
「シャア!?」
レズン同様、下着同然の姿で、部屋から出てきたアムロに、シャアが慌てて自分の上着を脱いで肩に掛ける。
「ああ、ごめん。酔っ払ってそのまま寝ちゃったから…」
当のアムロもレズン同様あまり気にする事なくシャアを見上げる。
そんなシャアを、レズンが呆れた目で見つめる。
「私は女扱いされてないって事かい?このボンクラ総帥」
しかし、そんなレズンの呟きに耳を傾ける事なくアムロを上着の上からギュッと抱き締める。
「レズンに何かされたのか!?」
そのシャアの発言に、アムロは目を見開き、レズンはガクリと肩を落とし壁に頭をぶつける。
「はぁ?何言ってるんだシャア」
「何故そんな姿で!」
「や、だから昨日酔っ払ってそのままレズン少尉の家に来たから着替えとか無くて、服だけ脱いで寝たんだよ」
「まさか君たちそんな関係なんじゃ!?」
アムロの言葉を聞きもせず、斜め上の妄想を膨らませるシャアに、アムロが呆れたように溜め息を吐く。
「はぁ!?なに考えてんだ、貴方。そんな訳ないだろう」
そんなアムロをレズンが背後から抱きしめて首筋にキスをする。
「あれ?バレちゃった?」
クスクス笑いながら悪ノリするレズンにアムロが慌てる。
「ちょっ!レズン少尉!」
「アムロも私の事を好きって言ってくれただろう?」
「アレは…」
友人って意味で…と言いかけたアムロの口をレズンがキスで塞ぐ。
「んんん!」
そんな二人を、シャアが呆然と見つめている。
その反応が可笑しくて、レズンが腹を抱えて笑いだす。
「あははは!最高だね」
「レズン少尉!」
顔を真っ赤にして叫ぶアムロと、反対に真っ青になる総帥の姿にレズンは更に笑いが込み上げる。
「はははっ!ごめん、ごめん、冗談だよ」
レズンの言葉が聞こえているのか、いないのか、シャアがアムロをレズンの腕から取り返すとギュッと抱きしめレズンを睨みつける。
「アムロは私のものだ!誰にも渡さない!」
「シャア!だから冗談だって!」
「あはははは!総帥、アンタ最高!」
「レズン少尉!」
大人たちの可笑しなやり取りを見ながら、カイルは母の心がとても安定している事に気付く。
母にとって、レズン少尉は母を理解し、受け容れてくれる大切な友人なんだろう。
「アムロ!帰るぞ!」
「ちょっ!着替えるからちょっと待って!」
慌てて着替えに行くアムロを目で追いながらカイルは微笑むと、視線をレズンへと向ける。
「母がお世話になりました。今後とも母をよろしくお願いします」
「ああ」
『父親と違って出来た子だねぇ』
そんな事を考えながらレズンは微笑んでカイルに答える。
「昨日の夜、お母さんの感情が激しく動くのを感じて、また怖い夢を見たんだって思いました。でも、少ししたら揺れてた感情が穏やかになって、逆に暖かいものに変わったんです。きっとレズンさんのお陰ですね」
そう語るカイルに、レズンが驚いて目を見開く。
「ニュータイプっていうのはそんな事も分かるのかい?」
「どうなんでしょう?僕はお母さんの事しか分からないから」
キョトンとするカイルに、レズンは少し肩の力を抜く。
『顔は総帥似だが、こう言うところはアムロに似ている』
「そうか、まぁアンタのお母さんは色々あるみたいだけどさ、何か困った事があったら私に言いな。力になるよ」
「ありがとうございます」
レズンは頭を下げるカイルの髪を優しく撫ぜる。
『まぁ、アムロと総帥の子供が普通の訳ないか。でも、私らと同じ人間だ、そんなのはどうでもいい事だ』
優しく微笑むレズンに、カイルも微笑み返す。
「僕もレズンさんの事好きです。これからもよろしくお願いします」
「可愛い事言ってくれるじゃないか!こちらこそよろしく頼むよ」
そう言ってレズンがカイルを抱き締める。
ほぼ下着のレズンに抱き締められ、その豊満な胸の感触にカイルが顔を真っ赤にする。
「レズン!カイルを離せ!」
それを見てシャアが叫ぶが、レズンはその二人の反応が可笑しくて更に揶揄う様にカイルを抱き締める。
「良いじゃないか!カイルは私を好きだって言ってくれてるんだからさ」
「しかし!子供に今の君の格好は目の毒だ!」
「アンタは相変わらず無関心みたいだけどね」
「アムロ以外はどうでもいい!」
「言い切ったね…。アンタ重すぎるって言われないかい?」
「そ、そんな事は無い!」
「あれ?ちょっと自覚ある?」
「うるさい」
そんな二人の言い合いを聞いて、レズンの胸の中でカイルが笑い出す。
「ははは、お父さん面白すぎる」
「だろ?」
「カイル!」
「あれ?何してるの?」
そこに着替えを終えたアムロが顔を出し、三人の様子に首を傾げる。
「アムロ!カイル!帰るぞ」
「え?シャア?」
状況の飲み込めないアムロの腕を掴んでシャアが部屋を出て行く。
「レズン少尉!ありがとう!また改めてお礼するね!」
「ああ、またね」
それを見送りながら、カイルもレズンに一礼してからその後を追った。
「カイル!じゃあね」
声を掛けるレズンに振り向くと、カイルが満面の笑顔を向けて去っていった。

嵐の様に通り過ぎた一家に、レズンは思わず思い出し笑いを浮かべる。
「楽しみが増えたね」
このネタでまたアムロや総帥を揶揄おうとほくそ笑むレズンだった。


帰りのエレカの中で、カイルがクスクス笑いながらアムロに話し掛ける。
「レズンさんっていい人ですね」
「カイル?」
「僕の事…ニュータイプの事を気持ち悪いとか思わずに、同じ人間なんだからそんな事はどうでもいいって思ってくれました」
レズンの想いは、髪を撫ぜる手を伝わってカイルに届いていた。
「ニュータイプ嫌いで有名なレズンがか?」
「そうなんですか?」
「ああ、パイロット仲間の中では有名な話だ」
シャアの言葉に、アムロは小さく頷く。
「パイロットとしてはニュータイプの存在は理解できないかもね」
レーダにも映らない敵を察知し撃墜する。オールドタイプには理解できない感覚だ。
腕の立つパイロットのレズンとしては、そんな訳の分からない能力で戦果を挙げ、自身が努力して培った力を凌駕していく存在は嫌なものでしかないだろう。
「しかし彼女は優秀なパイロットであり、部下をまとめる隊長だ。ギュネイの事も毛嫌いはしていたが、戦場で私情を挟む事は無かった」
「うん、レズン少尉らしい」
「隊長として部下からの信頼も厚く、レズン自身も部下に対して情の厚い人間だ」
「そうだろうね」
優しく微笑んで頷くアムロに、シャアはレズンの人柄を認めつつも、アムロに対する近すぎる態度にイライラを隠せない。
「ちょっと、シャア!さっきのアレはレズン少尉の冗談だよ!間に受けないでよ」
「……本当か?」
「シャア…貴方ね…」
呆れるアムロに、シャアが更に確認する。
「しかし、彼女のあの態度は…!」
「貴方、レズン少尉に揶揄われたんだよ」
「だが君にキスをした!」
作品名:Lovin’you afterCCA13 作家名:koyuho