花の色
BGMは身も切れんばかりの罵詈雑言なのだがそちらへは誰も注視しようとせず、関わるだけ無駄とばかりに会話を進めていく。
「それにしても兄貴の刀受け止めても刃毀れしないなんて余程の刀なんだね」
「えぇ、銘を大和と言いましていつでしたか私用に作ったと備前さんが持ってきてくれたんですよ」
「備前さん・・・?」
「えっと、昔の地名です。私と似た様な存在の方です」
「そうなんだ・・・・」
「彼此・・・・・・500年くらいですかね?」
「そんなに!?」
「有名な刀工に作ってもらったんじゃないのか?」
「あぁ・・・・・いくつか国宝になりましたね。でも私にとっては大切な国民の一人ですから」
そろそろ口で勝てなくなったシキがボロボロに打ちのめされだした。
それに気付いたnがエマに近付いていく。
「エマ・・・・」
「なんだ?」
「アキラが寂しがっている」
瞬間、掴んでいたシキの襟首を離してアキラの元へと近付いていく。
床に崩れ落ちたシキには目もくれない。
「アキラ、久しぶりなのにあまり話しも出来てなくてすまない」
「いいんだ。エマが元気そうで安心したよ」
「まさか、本田殿に会うとは思っていませんでしたが」
「おや、そうですか?貴女の義妹婿殿は一応この国の代表になったと思ったのですが」
「ふん、あの青二才など」
「ふふ・・・・・相変わらずお厳しい」
エマはアキラを抱締めたまま本田に話しかける。
反対側からnもアキラの頭を撫でている。
その姿を微笑ましく見守りながら、一つ思い出したように本田は笑顔を浮かべた。
「そういえば、おめでとうございますとお伝えしようと思っていましたのに、忘れていました」
「おめでとう?」
「はい。アキラ様に」
俺?とエマの腕の中で首を傾げる。
その言葉にリンもシキも本田に意識を向ける。
「新しい命の誕生は喜ばしいものですよ」
「えっ・・・・・あっぇぇえええ!?」
「うっそぉ!?」
アキラとリンが声を上げて驚きを顕わにする。
nにエマ、それからシキも目を丸くしている。
「私、国な所為か新しい国民には敏感なんです」
そう言って本田が引っ掻き回すだけ回して帰って言った後、アキラは早速掛かりつけの医者を呼ばれ、エマとn、それにシキは命名権を争った、。
その横でリンがポツリと呟いた。
「菊様すげー・・・・・」と。