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グリモア~みんなと一緒なら~エピソード1

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――プロローグ――

今、僕はとてつもない緊張感の中にいた。
僕の前にはビル十階ほどの高さにまでなる魔物が、大きな足を力強くよく動かし、ビルやマンションを崩壊させながら進撃している。
僕には、この魔物を倒すというミッションがある。それは、隣にいる同級生の少女、智花も一緒だった。智花は真剣なまなざしで魔物を見続けていた。しかし、僕は彼女のその目の中で、かすかに涙がこぼれそうになっていることを見逃さなかった。きっと彼女も死を覚悟したのであろう。
目の前で、今までのすべての日常が破壊されていく
こんな時に限って、楽しかった思い出だけが自分の脳内を駆け巡る。十六年間の思い出、今思い返せばすべて本当に楽しかった。しかし、そんな思い出の一つ一つに浸る時間もなくデバイスが鳴る。
『突撃一分前。準備してください。』
「いよいよですね。」
智花と僕は決意を固めて準備を開始した。

――第1章 はじめまして魔法学園――

僕は、今年高校に入学して、最初は知り合いがいなかったクラスのメンバーとも、ゆっくりとではあったがなじめてきたところであった。
その日も、僕はいつものように目覚まし時計のベルを切り、高校へ行くための準備を始めた。起きた時から少し熱があるようにも感じたが、そこまで辛くはなかったのでそのまま学校へ行くことにした。
家から最寄りの駅に着くと、さっきの熱がだんだん辛くなってきたように感じた。(学校休もうかな…)そう思った時だった。
目の前が一気に明るく光り、体は思うように動かせなくなった。体が倒れていく…そんな感覚はあるが、今度は体が動かないどころか声すら出ない。倒れていっているはずなのに体は地面になかなかつかない。まるでスローモーションの中にいるようだった。

今でも僕はその後どうなったかという記憶はない…

ドン!!
頭に激痛が走って飛び起きた。
「痛っ!!」
頭をなでながら周りを見渡すと、どうやら車の中のようであった。僕は後部座席に寝かされており、窓にはどんどん後ろへ流れていく木々と、運転席と助手席には人影が見えた。
意味が分からず僕がきょろきょろしていると助手席に座っていた者が振り向いて語りかけてきた。
「おー起きたか!よかったよかった」
「う、うわーーーー!!」
なんと、その時僕に語りかけてきたのはうさぎだったのだ。うさぎといっても身長は60cmほどあり、洋服を着ている。
「俺は、うのすけ。厳密に話すと長くなるから今はしゃべるうさぎ型の機械だと思ってくれ」
うのすけは軽く自己紹介をしてから笑いながら言った。
「俺がうさぎだからってそんなに驚かなくてもいいだろ〜俺はおまえの覚醒のタイミングに驚かされたぜ」
「覚醒?」
「そうだ!お前は魔法使いに覚醒した!」
「え…」
固まっている僕の顔を見てうのすけは言った。
「残念…だったかな?」
その言葉を聞いて僕は我に返った。
「いや、嬉しいです!魔法使いにはあこがれてました!」
僕の住んでいた町は、魔物が大量発生し、現在でも立ち入り禁止なのだが、魔物発生当日に僕達の命を救ってくれた魔法使いの背中にずっとあこがれていたのだ。
その言葉を聞いてうのすけも笑顔になった。
「そうか!それならよかった!魔法使いは一部の一般の人には嫌われているからな。覚醒したと聞いて残念がるやつも多いんだ。」
「嫌われている?魔法使いは魔物を倒して一般の人を守ってるんじゃないんですか?どうして…」
「魔法使いは、その名の通り体内から炎や水、氷、稲妻を放つことができる。もちろんやろうとすれば人間に対してだって…一部の人は危険だと思うのさ…」
うのすけは悲しい顔をしていたが、すぐにさっきの笑顔を取り戻し、話をつづけた。
「そんなことより、おまえ、大丈夫か?痛いところがあったらすぐに言えよ?」
痛いといえば、さっき車の揺れでぶつけた頭くらいで、もうだいぶ痛みも取れてきていた。
「いえ、大丈夫です。」
「本当か!さすが魔法使いだな!さっきも言ったがおまえは覚醒のタイミングが本当に悪かった。電車にひかれたんだよ。覚醒中でバリアの機能が働いたからおまえの体に害はなかったようだからよかったけどな!手続きはものすごく大変だったんだぞ!まぁ、賠償金とかは国から出たから気にするな」
笑いながらそう言ってきた。
「僕が…電車に?」
全く信じられなかった。体のどこも痛くはなかったし、傷もなかった。
(これが…魔法使いの力なのか…)
僕を乗せた車は森の中をものすごいスピードで走っていく…
「ちなみに…今どこに向かってるんですか?」
「あ、言ってなかったな。今この車はグリモワール魔法学園に向かっている。魔法使いに覚醒した子は必ずその日から魔法を安全に使えるようにするために魔法学園に入ってもらうことになってるんだ!今日から転校生だな!改めて、グリモワール魔法学園で生徒に生活指導をしているうのすけだ!よろしく!」
と言いながらうのすけは手を差し出してきた。
「え?生活指導?」
握手しながら聞くと、
「そうだ!これでも先生なんだぞ!」
それから小声でこう続けた。
「ちなみに学園の男女比は2:8なんだ。楽しみにしてろよ!」
「ほんとですか!?」
うのすけは笑いながら言った。
「そんなに鼻の下を伸ばすなよ!学園の前に病院によるからな!」
「え〜…」
僕は初対面なのにいつの間にかうのすけと仲良くなっていた。
そのあとは、うのすけと自分の過去や魔法学園について話しながら病院まで向かった。
病院では体の傷がないことなど簡単な検診をして僕はすぐにまた車に乗り込んだ。
それから30分ほど走り続け、キィィーー!
車は、門の前で止まった。門の奥には青い屋根をしたお城が見える。
「着いたぞ!お疲れ様!」
「え?ここが学校?」
「そうだ!かっこいいだろ!」
本当にきれいだった。
車から降りると、前に茶髪の僕と同級性くらいの女の子が立っていた。
「おぉ!智花!今日はお前が案内担当か!よろしく頼むぞ!」
「はい!お任せくださいうのすけさん!あなたが転校生さんですね。南智花といいます。学園の案内をしますからよろしくお願いします!」

――第2章 総合的な魔力――

少し歩いたところで智花が興味深々な顔で聞いてきた。
「ところで、転校生さんの魔法属性は何ですか?」
「魔法属性?」
「はい!魔法使いには、それぞれ得意とする魔法があるんです。例えば私は炎の魔法をつかいます。戦闘魔法以外に少数ですが回復魔法を使える子などもいるんです。」
「そうなんだ、僕はまだ聞いていないな…」
「それなら、最初に宍戸さんの所に行きましょう!すぐになんの魔法属性かわかるはずです!」
そうして智花に手を引かれ、地下へと連れていかれた。
地下に広がる大きな研究室にはいくつもの大きなモニターと機械にあふれており、そこにショートカットで眼鏡をかけた少女が一人座っていた。
その少女はたくさんのキーボードを打ちながらモニターに集中しているようで、こちらには一切気づかなかった。
「宍戸さん」
智花が声をかけると少女はこちらを向いて答えた。
「あら、南さん。そちらは?」
「今日転校してきた転校生さんです。まだ属性を調べてもらってないようなので」