機動戦士ガンダムRSD 第30話 示される世界
アークエンジェルとミネルバは、ベルリンから少し離れていた。
2隻の艦橋には、乗組員のほとんどがいた。
「ボナパルト隊、ネオ大佐とスティング少尉への哀悼の意を込めて総員、敬礼」
タリア艦長の言葉に皆が敬礼をした。
キラ准将は、これまでのサオトメとの戦闘を思い出していた。
そしてキラ准将の目は、復讐鬼の目つきになっていた。
※
α艦隊は、雪の降りしきる中生存者と死体の回収作業を行っていた。
「新しい死体置き場を作ってくれ。
もういっぱいだ」
しかし発見されるのは、死体だったり死体の一部だけであり生存者はほとんどいなかった。
それでもα艦隊の乗組員は、希望を捨てずに生存者を探した。
「もう新しい死体置き場を作るスペースが無い。
わからない死体は、焼却しろ」
彼らにとって見れば苦渋の選択だった。
整備員で生存者の探索をしていたチームが生存者の子供を見つけた。
「よし、いい子だ。
もう大丈夫だぞ」
整備員の1人が毛布でくるみ優しく子供を抱きかかえジープの方へ運んだ。
「医療薬が少なすぎる。
食料も毛布もだ」
1個艦隊でつんでいる装備など高が知れていた。
「重機は、だめだ。
陥落する」
瓦礫の下に生存者がいたが重機を使えば陥落する恐れがあり手作業で助け出す方法をとった。
「誰かこの子の親を知りませんか」
身元確認室では、情報が錯綜しており正しい情報も誤った情報も区別できないほどだった。
「誰か手を貸してくれ」
瓦礫の下敷きの生存者がもう少しで助け出せそうだった。
※
艦長以下ブリッジ要員は、監視のため艦に残っていた。
「しかしひどいな。
無茶苦茶だ、地球軍は」
マーカー艦長は、そう嘆いた。
「そうですね」
ミハイル副艦長がマーカー艦長とともにブリッジから焼け野原となったベルリンを見ながら相槌を打った。
「俺たちは、何をしているんだろうな?」
マーカー艦長は、こうならないように軍服を着て戦いに身を置いているのに一向に市民を守れない自分に憤りを感じていた。
「正直こんな戦闘ばかり起きてどうなるかという思いです」
その言葉にマーカー艦長が振り向いた。
「戦前から変わらない地球連合との融和政策は、すばらしいと思います。
でもうつべきものは、さっさとうつべきです。
そうではないといつまでたっても終わらないと思います、この戦争は」
ミハル副艦長が自分の考えを述べた。
「そうだな」
マーカー艦長は、向きを直してため息混じりに言った。
※
アスラン准将は、シン中尉の部屋を訪れた。アスラン准将は、部屋の呼び出し音を押した。
「シン、いいか?」
アスラン准将がシン中尉に入室許可を出した。
「どうぞ」
自動ドアが開いてアスラン准将は、中に入った。
中に入るとシン中尉は、立ち上がって敬礼した。
アスラン准将は、制止させた。
シン中尉は、いすに座るとキーボードをたたいた。
「何をやってるんだ?」
アスラン准将は、シン中尉が何をしているのか聞いた。
「敵の戦闘分析です」
モニターには、ガンダムサイガーMk-2が映っていた。
「サオトメか」
アスラン准将は、「敵の戦闘分析」の言葉で大体予想できた。
「クソ。
何でこんなに動きが速いんだ?」
シン中尉は、いらだっていた。
「カメラが向いてからの反応が速過ぎりるんだ。
それに最悪カメラが向かなくても反応される可能性もある。
スラスターもかなり可動が広いからAMBACとして有効利用されているんだ。
だからガンダムサイガーの恐ろしさは火力、機動性、防御力と追従性が高いレベルであることによる隙の無い機動兵器になっていることだ。
これをクリアしなければやつを倒せない」
アスラン准将は、ガンダムサイガーの恐ろしさを説明した。
「なのに兵器設計局ハインライン局や国防連合企業体は、ガンダムサイガー同様ひとつの機体にそのすべての要求を詰め込むモビルスーツを開発しようとしてるから中途半端な機体しかできないんだ。
やつを倒すには、性能を3つに分割した3機のモビルスーツを開発するしかないのに」
アスラン准将は、手を硬く握りながら言った。
「たとえば?」
シン中尉は、少し興味を持った。
「たとえば機動性に優れ相手を牽制する役、敵の防御力を貫くアタッカーで敵の攻撃を防ぐディフェンサーだな」
アスラン准将は、少し誇らしげに言った。
「そうですか。
できれば戦闘のアドバイスをしていただきませんか?
次は、絶対にあれを墜とします」
シン中尉は、アスラン准将にお願いした。
「わかった」
2人は、パソコンによる戦闘シュミレーションの続きを行った。
メイリン軍曹は、姉のルナマリア少尉のお見舞いに行った。
※
アークエンジェルでは、改修型フリーダムガンダムの整備を行っていた。
キラは、改修型フリーダムガンダムをしみじみ見ていた。
「どうしたんです?
准将」
マードック曹長がキラに声をかけてきた。
「フリーダムを見ていたんです。
じきにストライクフリーダムが完成しますから。
見納めです」
現在エターナルにて地球軍の切り札として当時既に形骸化していたニューヤーク条約を半ば故意犯的に破り類稀な機体性能を実現し多くの新機軸が搭載した4機の新型ガンダムのうちのひとつである。
「ストライクフリーダムにフリーダムのOSを基に開発された専用OSがあればガンダムサイガーにも勝てますね」
マードック軍曹の言葉にキラもうなづいた。
しかしガンダムサイガーのカタログスペックはすでにデスティニーガンダム、 インフィニットジャスティスガンダム、ストライクフリーダムガンダムやレジェンドガンダムなどすら超えておりさらにその頂点を極めたカイザーガンダムと(仮称)ガンダムオラクルが開発されておりこれらの機体の優位性はなかった。
しかしこのとき彼らがそんなことを知るはずもなったが。
ラミアス艦長は、ネオ大佐の死の悲しさのあまり艦長室で1人泣いていた。
ネオ大佐は、仮面に隠された素顔がムウ・ラ・フラガ少佐そっくりだった。
しかしアークエンジェルで行ったDNA検査では、まったくの別人であることが判明した。
しかしラミアス艦長は、少なからずネオ大佐にフラガ少佐の面影を感じていた。
そのため再びフラガ少佐が離れてしまった悲しみが我慢できなかった。
※
「修理より解体処分したほうがいいのに」
整備員の1人が愚痴った。
「そうだよな。
いっそのこと核搭載の新品とか」
モビルスーツデッキにて整備員が愚痴をこぼしあっていた。
「でもザクは、いいけどセイバーがな」
ヨウラン軍曹が試作機の運用性の悪さを言った。
「何?
まだあるの?」
ヴィーノ軍曹が補給品の量にうんざりしていた。
「でももうこれで最後だろう。
2隻の艦橋には、乗組員のほとんどがいた。
「ボナパルト隊、ネオ大佐とスティング少尉への哀悼の意を込めて総員、敬礼」
タリア艦長の言葉に皆が敬礼をした。
キラ准将は、これまでのサオトメとの戦闘を思い出していた。
そしてキラ准将の目は、復讐鬼の目つきになっていた。
※
α艦隊は、雪の降りしきる中生存者と死体の回収作業を行っていた。
「新しい死体置き場を作ってくれ。
もういっぱいだ」
しかし発見されるのは、死体だったり死体の一部だけであり生存者はほとんどいなかった。
それでもα艦隊の乗組員は、希望を捨てずに生存者を探した。
「もう新しい死体置き場を作るスペースが無い。
わからない死体は、焼却しろ」
彼らにとって見れば苦渋の選択だった。
整備員で生存者の探索をしていたチームが生存者の子供を見つけた。
「よし、いい子だ。
もう大丈夫だぞ」
整備員の1人が毛布でくるみ優しく子供を抱きかかえジープの方へ運んだ。
「医療薬が少なすぎる。
食料も毛布もだ」
1個艦隊でつんでいる装備など高が知れていた。
「重機は、だめだ。
陥落する」
瓦礫の下に生存者がいたが重機を使えば陥落する恐れがあり手作業で助け出す方法をとった。
「誰かこの子の親を知りませんか」
身元確認室では、情報が錯綜しており正しい情報も誤った情報も区別できないほどだった。
「誰か手を貸してくれ」
瓦礫の下敷きの生存者がもう少しで助け出せそうだった。
※
艦長以下ブリッジ要員は、監視のため艦に残っていた。
「しかしひどいな。
無茶苦茶だ、地球軍は」
マーカー艦長は、そう嘆いた。
「そうですね」
ミハイル副艦長がマーカー艦長とともにブリッジから焼け野原となったベルリンを見ながら相槌を打った。
「俺たちは、何をしているんだろうな?」
マーカー艦長は、こうならないように軍服を着て戦いに身を置いているのに一向に市民を守れない自分に憤りを感じていた。
「正直こんな戦闘ばかり起きてどうなるかという思いです」
その言葉にマーカー艦長が振り向いた。
「戦前から変わらない地球連合との融和政策は、すばらしいと思います。
でもうつべきものは、さっさとうつべきです。
そうではないといつまでたっても終わらないと思います、この戦争は」
ミハル副艦長が自分の考えを述べた。
「そうだな」
マーカー艦長は、向きを直してため息混じりに言った。
※
アスラン准将は、シン中尉の部屋を訪れた。アスラン准将は、部屋の呼び出し音を押した。
「シン、いいか?」
アスラン准将がシン中尉に入室許可を出した。
「どうぞ」
自動ドアが開いてアスラン准将は、中に入った。
中に入るとシン中尉は、立ち上がって敬礼した。
アスラン准将は、制止させた。
シン中尉は、いすに座るとキーボードをたたいた。
「何をやってるんだ?」
アスラン准将は、シン中尉が何をしているのか聞いた。
「敵の戦闘分析です」
モニターには、ガンダムサイガーMk-2が映っていた。
「サオトメか」
アスラン准将は、「敵の戦闘分析」の言葉で大体予想できた。
「クソ。
何でこんなに動きが速いんだ?」
シン中尉は、いらだっていた。
「カメラが向いてからの反応が速過ぎりるんだ。
それに最悪カメラが向かなくても反応される可能性もある。
スラスターもかなり可動が広いからAMBACとして有効利用されているんだ。
だからガンダムサイガーの恐ろしさは火力、機動性、防御力と追従性が高いレベルであることによる隙の無い機動兵器になっていることだ。
これをクリアしなければやつを倒せない」
アスラン准将は、ガンダムサイガーの恐ろしさを説明した。
「なのに兵器設計局ハインライン局や国防連合企業体は、ガンダムサイガー同様ひとつの機体にそのすべての要求を詰め込むモビルスーツを開発しようとしてるから中途半端な機体しかできないんだ。
やつを倒すには、性能を3つに分割した3機のモビルスーツを開発するしかないのに」
アスラン准将は、手を硬く握りながら言った。
「たとえば?」
シン中尉は、少し興味を持った。
「たとえば機動性に優れ相手を牽制する役、敵の防御力を貫くアタッカーで敵の攻撃を防ぐディフェンサーだな」
アスラン准将は、少し誇らしげに言った。
「そうですか。
できれば戦闘のアドバイスをしていただきませんか?
次は、絶対にあれを墜とします」
シン中尉は、アスラン准将にお願いした。
「わかった」
2人は、パソコンによる戦闘シュミレーションの続きを行った。
メイリン軍曹は、姉のルナマリア少尉のお見舞いに行った。
※
アークエンジェルでは、改修型フリーダムガンダムの整備を行っていた。
キラは、改修型フリーダムガンダムをしみじみ見ていた。
「どうしたんです?
准将」
マードック曹長がキラに声をかけてきた。
「フリーダムを見ていたんです。
じきにストライクフリーダムが完成しますから。
見納めです」
現在エターナルにて地球軍の切り札として当時既に形骸化していたニューヤーク条約を半ば故意犯的に破り類稀な機体性能を実現し多くの新機軸が搭載した4機の新型ガンダムのうちのひとつである。
「ストライクフリーダムにフリーダムのOSを基に開発された専用OSがあればガンダムサイガーにも勝てますね」
マードック軍曹の言葉にキラもうなづいた。
しかしガンダムサイガーのカタログスペックはすでにデスティニーガンダム、 インフィニットジャスティスガンダム、ストライクフリーダムガンダムやレジェンドガンダムなどすら超えておりさらにその頂点を極めたカイザーガンダムと(仮称)ガンダムオラクルが開発されておりこれらの機体の優位性はなかった。
しかしこのとき彼らがそんなことを知るはずもなったが。
ラミアス艦長は、ネオ大佐の死の悲しさのあまり艦長室で1人泣いていた。
ネオ大佐は、仮面に隠された素顔がムウ・ラ・フラガ少佐そっくりだった。
しかしアークエンジェルで行ったDNA検査では、まったくの別人であることが判明した。
しかしラミアス艦長は、少なからずネオ大佐にフラガ少佐の面影を感じていた。
そのため再びフラガ少佐が離れてしまった悲しみが我慢できなかった。
※
「修理より解体処分したほうがいいのに」
整備員の1人が愚痴った。
「そうだよな。
いっそのこと核搭載の新品とか」
モビルスーツデッキにて整備員が愚痴をこぼしあっていた。
「でもザクは、いいけどセイバーがな」
ヨウラン軍曹が試作機の運用性の悪さを言った。
「何?
まだあるの?」
ヴィーノ軍曹が補給品の量にうんざりしていた。
「でももうこれで最後だろう。
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第30話 示される世界 作家名:久世秀一