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機動戦士ガンダムRSD 第30話 示される世界

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もうごちゃごちゃでわかんないよ」
 ミネルバでは、補給物資が詰め込まれていたが荷物だけ詰めて中で仕分けることになっていた。
この基地に入ってからずっとそれが整備員の仕事だった。
 アスラン准将は、そんなモビルスーツデッキにつくとコアスプレンダーの整備作業を見ながらシン中尉とのやり取りを思い出していた。
「アスラン准将」
 アスラン准将が声のほうを見るとルナマリア少尉が右手で敬礼した。
先の戦闘にて機体が損傷した際左腕と頭部に怪我を負っていしまっていた。左腕は、ギブスをつけており頭には包帯を巻いていた。
その関係上軍服の前部分は、開いてその下に入院用の服を着ていた。袖も右腕だけに腕を通しているだけである。
「どうしたんですか、こんなところで?」
 ルナマリア少尉は、アスラン准将の隣に立った。
「ああ、いや」
 アスラン准将は、別に何かしていたということではなかったため答えに迷った。
「またサオトメが撃墜スコアをのばしちゃいましたね」
 ルナマリア少尉の言葉にアスラン准将は、ルナマリア少尉を見た。
「前大戦でコロニー軍最多撃墜スコアを持つサオトメなら普通の話なのかもしれませんけど。
何かね。
強すぎるんですよね」
 ルナマリア少尉は、なぜ自分たちコーディネイターよりナチュラルのサオトメのほうが強いのか疑問に感じていた。
「だから俺にサオトメを倒して見せろといいたいのかね」
 アスラン准将は、ルナマリア少尉の言いたいことを予想した。
「そうです」
 ルナマリア少尉は、アスラン准将を見てうなずいた。
「私は、アスラン准将が活躍しているところが見たいんです。
優しくて守りたいもののために一生懸命戦う男性っていうのが私の好みなんです」
 アスラン准将は、ルナマリア少尉が言ってる事がわからなかった。
それを察したルナマリア少尉は、体をアスラン准将に密着させ右腕を背中に回した。
「アスラン准将は、優しいですしかっこいいですから女なんてその甘い声ですぐ堕ちちゃいますよ」
 ルナマリアの誘惑する女の声にさすがのアスランもどういう状況なのかやっと把握した。
「いや、待ってくれ。
俺には、ラクスがいるんだぞ」
 ラクスという言葉が出た途端に背中に回っていた右腕に力が入った。
「今は、ラクス様じゃなくて私だけを見てほしいんです。
ここにいる間だけでかまいませんので」
 アスランは、ルナマリアの体を離そうとしていたが彼女から香る香りに理性を半分以上奪われていた。
刹那モビルスーツデッキの自動ドアが開いた。
その瞬間アスランの理性は、復活して何とかルナマリア少尉の体を突き放した。
「失礼します」
 マユ少尉だった。
「モビルスーツデッキの状況を見に着ただけだ。
お前は、どうして?」
 アスラン准将の表面は、冷静だったが内心は挙動不審だった。
「同じくです」
 そういうとマユ少尉は、モビルスーツデッキを見回した。
「ここまでやられるとやはり現状のモビルスーツでは、勝てないんじゃないかって思ってしまいます」
 マユ少尉は、ため息混じりに言った。
「しかし俺たちは、与えられたもので最高の戦果を出すことが任務だ。
与えられるものには、文句を言わずに作戦と技量でカバーするしかない」
 アスラン准将は、上官顔で言った。
「そうですね」
 マユ少尉は、アスラン准将の言葉にうなずいた。
「じゃあ、俺はこれで」
 アスラン准将は、マユ少尉に敬礼してモビルスーツデッキから出た。
マユ少尉は、ルナマリア少尉に気づいた。
「ルナマリア少尉は、どうしてです?」
 マユ少尉は、ルナマリア少尉にも質問した。
「しゃべらなくていいでしょ」
 ルナマリア少尉は、不機嫌に言った。
マユ少尉は、なぜルナマリア少尉が不機嫌なのかわからなかった。

                                    ※

 大西洋連邦首都のワシントンD.C.では、デュランダル大統領が緊急記者会見を開こうとしていた。
「では、大統領。
よろしいですか?」
 テレビ局員がデュランダル大統領に質問した。
「ああ、頼む。
はじめよう」
 すべての放送準備は、整った。
「3、2」
 現場監督がカウントダウンを始めた。
そして放送スタートの合図をデュランダル大統領に送った。
「皆さん、私は大西洋連邦大統領ギルバート・デュランダルです。
われら地球とコロニーの方々の間で戦争が解決していない中突然このようなメッセージを送ることをお許しください。
ですがどうか聞いてください」

                                     ※

 それは、ミネルバでも確認できた。
「艦長、デュランダル大統領がワシントンD.C.から緊急メッセージを送っています」
 メイリン軍曹の報告に艦長は、驚いた。
「あらゆるメディアを使って全世界に送っています」
 アーサー副艦長がひどく驚いていた。

                                     ※

 アークエンジェルでもそれは、確認できた。
すでにほとんどの乗員は、ブリッジに上がってモニターでその放送を見ていた。
「何?
どういうことなの?」
 しかし遅れてきたラミアス艦長は、状況を把握できていなかった。
「デュランダル大統領」
 キラ准将は、そのメッセージを一言一句聞き逃すまいとモニターにかじりついた。

                                     ※

「放送を艦内に流して。
各員、可能な限り聴くようにと」
 タリア艦長が命令した。
「はい」
 タリア艦長の命令にアーサー副艦長が了解した。
「各員、デュランダル大統領の緊急メッセージが放送中である。
可能な限り聴くように」
 艦内放送でほとんどの乗員は、大型モニターがある多目的ルームに向かった。
 アスラン准将が多目的ルームにつくとモニター前には、すでに人が集まっていた。
「こうしていまだ戦火が納まらないわけを。
この状況を作った本当のわけを。
各国の情報の海によりいまだ皆さんは、皆さんはご存じない方も多いでしょう」
 すると映像が変わりベルリン上空を飛行するガンダムサイガーが映った。
そしてガンダムサイガーがビームライフルを撃つとビームが町を焼き払った。
その映像が淡々と流れていた。
地球連合の国民とりわけ大西洋連邦の国民は、衝撃を感じていた。
「この映像は、過日ユーラシア連邦西岸部にコロニー軍が侵攻した時の映像です」

                                      ※

 コロニー連邦共和国政府は、いち早く放送を遮断させたためコロニー内に妙な動きはなかったが放送を見ていた政府や軍上層部はショックを隠し切れなった。
しかしそれは、α艦隊が町を焼き払ったからではない。
地球軍のビーム技術は、荷電粒子やプラズマ等を臨界まで圧縮し光速で射出する指向性エネルギー投射兵器であり色が鮮やかになるのに対してコロニー軍が使うメガ粒子砲は一様にピンク色である。
そのためビームの色が変わっているため下手な映像編集だなというのが彼らの感想だった。