第1章・2話『執行猶予』
東方星写怪異録 第1章・2話
―すこし前、霧雨魔法店―
魔理沙「なんだ……あれ?」
いつもの様に博麗神社へ行こうと外へ出た普通の魔法使い、霧雨魔理沙は眼前の異常さに驚くしかなかった。
誰だって空にある筈のない星が浮いていたら当然だろう。
数分間その場で固まっていた魔理沙だったが────
アリス「魔理沙、貴方また魔法で何かやらかしたの?」
空から降りてきた七色の人形使い、アリス・マーガトロイドに咎められ魔理沙は我に返った。
魔理沙「心外だなアリス、昨日は何もしてなかったからな私は無罪だ」
アリス「時限式とかは?それなら数日前の失敗したのが出ても可笑しくはないわ」
他にも……と、アリスは色々推理し始め、魔理沙は思わず止めざるをえなくなった
魔理沙「ちょ、ちょっと待てって!」
魔理沙は召喚・生成の類で星を作るのは難しい事、出来たとしても準備からしていると数週間から数ヶ月単位は掛かる、しかもかなりの魔力を使う筈だから気が付かれないわけがない等を説明する。
アリスは説明されると疑いの目は無くなったが……
アリス「魔理沙……試そうとしたの?」
魔理沙「い、いやパチュリーから借りた本に項目があったから目を通しただけだからな!?」
アリス「……でも考えたんでしょ?」
魔理沙はアリスから目を逸らし、僅かに首を縦に振り、それを見たアリスは溜息をついた。
アリス「それで、その魔導書は?返して来てあげるから」
魔理沙「ええっ!?それはあんまりだって、アリス」
アリス「結局出来ないんだから戻しても問題ないでしょ?」
いや……でもなぁ、と言い淀む魔理沙、それを叱るアリスへ本を持った人形が近づく。
アリス「私があげた人形?……あら、その本は?」
魔理沙「あぁっ、それだそれ!その本」
人形からその本を受け取りつつ、アリスは人形を観察していた。
人形使いという能力を持つアリスにとって、動く人形自体には珍しくない……だがこの人形にはアリスの能力とは違う操作系の魔法が掛かっていた為だ。
魔理沙「アリスの人形達程、器用には動かないけどな?操作魔法を幾つか編み込んで動く様にしてみたんだ」
説明しながら、アリスから本を受け取ろうとする魔理沙。
アリス「まあ、魔理沙の役に立ってるなら良いんだけど……」
説明を聞きながら、本を魔理沙ではなく上海へ渡すアリス。
アリス「後はこれをパチュリーに返して、今回の異変について何か情報が無いか聞いてこないと……魔理沙は────」
アリスの言葉に魔理沙は手に持っていた箒に跨り。
魔理沙「あー、私は霊夢の所にでも行っとくから……じゃー頼んだ、アリス!」
そう言い、そそくさと魔理沙は博麗神社の方へ飛び去っていった。
アリス「全く……」
アリスはそう呟き、魔理沙が飛び去った方とは別の方向……本の持ち主が居る紅い洋館へと向かうのだった。
―人里上空―
魔理沙「人里にこれと言った違和感は無いな、となるとやっぱあの星だけか」
文「おやおや魔理沙さん、何か気掛かりな事でもあるんですか?」
魔理沙が上空で人里を見渡していると、さらに上空から声が掛かり、上を向くと……烏天狗の射命丸文がこっちにカメラを向けていた。
魔理沙「文か、お前は……まあ異変の取材だよな?」
文「当然ですよ!伝統の幻想ブン屋、文々。新聞を手掛けるジャーナリスト『射命丸文』が!異変の取材をしない理由が!!何処にあると言うんですか!!!」
魔理沙「あー、うん、そうだな……って、近い近い!」
文「すみません、久々の大きな異変で舞い上がってました」
興奮し、魔理沙の眼前まで迫っていた文は我に返り距離を置いた。
文から新聞を受け取り、目を通しながら文へ疑問を投げ掛けていた
魔理沙「そうだっけ?」
文「はい、いわゆる紺珠伝以来ですから……3年と少しですね」
魔理沙「まあ、何も起きて来なかった訳じゃなかったけどな」
魔理沙の言う通り、紺珠伝以降『大きな』異変は起きていなかった、ただ、大騒ぎになる程の異変でもなかったと言うだけの話。
魔理沙「えっと、何何?『上空に謎の星出現、理由などは不明……それに関連か、博麗霊夢の姿が忽然と消える』って、霊夢が居ない!?」
魔理沙は文に詰め寄り、両肩を揺さぶり始める。
魔理沙「霊夢が居ないってどういう事だよ!何か知らないのか!?」
文「あや、あややや……魔理沙、さん、落ち、落ち着い、て、下さ、揺さぶる、と首が、折れ、折れます、ますから!」
文の悲鳴と魔理沙の怒号は暫く続き……
魔理沙「……すまん文、取り乱した」
文「い、いえ……あと少しで首が逝きそうでしたが大丈夫です」
魔理沙と文は、取り敢えず現状の報告がてら博麗神社へ向かう事にした。
星が出現した瞬間は誰も知らない事、星からの影響は無く、害があるのかすら分からない事、そして博麗の巫女である博麗霊夢が見当たらない事。
魔理沙「でも博麗大結界は、消えてないんだよな?」
文「ええ、紫さんが維持してる……とも考えたのですが、それも無さそうなんですよね」
博麗大結界、幻想郷を外の世界と隔てる結界で代々博麗の巫女がそれを維持し守っている。
もし、博麗の巫女が居なくても結界の維持はある程度紫によって賄う事は出来る、らしい。
魔理沙「霊夢は居ないけど結界は壊れてないし、紫が維持してるかも分からない……か」
文「まあ、博麗神社に行って紫さんを呼んでみましょう」
魔理沙は文の言葉に頷き、主無き神社へと近づいて行く……
文「あやややや?誰か先客みたいですねー」
魔理沙「見かけない奴みたいだな、誰だ?」
―博麗神社―
しとねは上空の星を見つめながら
しとね「なんだろ、あの星……嫌な感じ」
恐らくしとねの居た外の世界で見た、夜空を覆う影と関係があるのだろうか……などと考えていた。
近くで声が聞こえた気がして、しとねは辺りを見渡すが……誰も居らず、疑問に思っていると。
魔理沙「よう、見ない顔だなお前」
文「霊夢さんが居なくなった上での登場……何か面白い取材のネタが出てきそうですね」
そう言いながら空から箒に乗ったいかにもな魔法使いと、首からカメラをぶら下げた天狗が降りて来ていた。
しとね「……」
二人の登場に、しとねは思わず数歩後ずさっていた。
魔理沙「そんな身構えなくっても大丈夫だっての」
文「そうですねー、魔理沙さんはともかく……私は取材させて貰いたいだけなので安心して下さい、あっ私、射命丸文と申します」
二人が言い合いを始め、それを見たしとねは溜息をついていた。
しとね「……で、何か用でしょうか?」
魔理沙「あー、忘れるところだった空に浮かんでる星の事と」
文「本来ここ、博麗神社に居るはずの霊夢さんの行方について……知る限り教えてくれませんか?」
しとねには説明出来るものが一つも無かった為、その事を伝えると
文「あやややや、やはり紫さんを呼ぶ以外無さそうですねー」
魔理沙「とは言っても、紫の奴どうやって呼ぶんだ?」
三人揃って唸っていると、鳥居の方から……
紫「あら、私に用があるのかしら?」
そちらに目を向けると、何時からそこに居たのか紫が立っていた。
魔理沙「聞きたい事があるんだ、空についても……だが」
文「霊夢さんの行方が知れないって事が一番ですかね」
―すこし前、霧雨魔法店―
魔理沙「なんだ……あれ?」
いつもの様に博麗神社へ行こうと外へ出た普通の魔法使い、霧雨魔理沙は眼前の異常さに驚くしかなかった。
誰だって空にある筈のない星が浮いていたら当然だろう。
数分間その場で固まっていた魔理沙だったが────
アリス「魔理沙、貴方また魔法で何かやらかしたの?」
空から降りてきた七色の人形使い、アリス・マーガトロイドに咎められ魔理沙は我に返った。
魔理沙「心外だなアリス、昨日は何もしてなかったからな私は無罪だ」
アリス「時限式とかは?それなら数日前の失敗したのが出ても可笑しくはないわ」
他にも……と、アリスは色々推理し始め、魔理沙は思わず止めざるをえなくなった
魔理沙「ちょ、ちょっと待てって!」
魔理沙は召喚・生成の類で星を作るのは難しい事、出来たとしても準備からしていると数週間から数ヶ月単位は掛かる、しかもかなりの魔力を使う筈だから気が付かれないわけがない等を説明する。
アリスは説明されると疑いの目は無くなったが……
アリス「魔理沙……試そうとしたの?」
魔理沙「い、いやパチュリーから借りた本に項目があったから目を通しただけだからな!?」
アリス「……でも考えたんでしょ?」
魔理沙はアリスから目を逸らし、僅かに首を縦に振り、それを見たアリスは溜息をついた。
アリス「それで、その魔導書は?返して来てあげるから」
魔理沙「ええっ!?それはあんまりだって、アリス」
アリス「結局出来ないんだから戻しても問題ないでしょ?」
いや……でもなぁ、と言い淀む魔理沙、それを叱るアリスへ本を持った人形が近づく。
アリス「私があげた人形?……あら、その本は?」
魔理沙「あぁっ、それだそれ!その本」
人形からその本を受け取りつつ、アリスは人形を観察していた。
人形使いという能力を持つアリスにとって、動く人形自体には珍しくない……だがこの人形にはアリスの能力とは違う操作系の魔法が掛かっていた為だ。
魔理沙「アリスの人形達程、器用には動かないけどな?操作魔法を幾つか編み込んで動く様にしてみたんだ」
説明しながら、アリスから本を受け取ろうとする魔理沙。
アリス「まあ、魔理沙の役に立ってるなら良いんだけど……」
説明を聞きながら、本を魔理沙ではなく上海へ渡すアリス。
アリス「後はこれをパチュリーに返して、今回の異変について何か情報が無いか聞いてこないと……魔理沙は────」
アリスの言葉に魔理沙は手に持っていた箒に跨り。
魔理沙「あー、私は霊夢の所にでも行っとくから……じゃー頼んだ、アリス!」
そう言い、そそくさと魔理沙は博麗神社の方へ飛び去っていった。
アリス「全く……」
アリスはそう呟き、魔理沙が飛び去った方とは別の方向……本の持ち主が居る紅い洋館へと向かうのだった。
―人里上空―
魔理沙「人里にこれと言った違和感は無いな、となるとやっぱあの星だけか」
文「おやおや魔理沙さん、何か気掛かりな事でもあるんですか?」
魔理沙が上空で人里を見渡していると、さらに上空から声が掛かり、上を向くと……烏天狗の射命丸文がこっちにカメラを向けていた。
魔理沙「文か、お前は……まあ異変の取材だよな?」
文「当然ですよ!伝統の幻想ブン屋、文々。新聞を手掛けるジャーナリスト『射命丸文』が!異変の取材をしない理由が!!何処にあると言うんですか!!!」
魔理沙「あー、うん、そうだな……って、近い近い!」
文「すみません、久々の大きな異変で舞い上がってました」
興奮し、魔理沙の眼前まで迫っていた文は我に返り距離を置いた。
文から新聞を受け取り、目を通しながら文へ疑問を投げ掛けていた
魔理沙「そうだっけ?」
文「はい、いわゆる紺珠伝以来ですから……3年と少しですね」
魔理沙「まあ、何も起きて来なかった訳じゃなかったけどな」
魔理沙の言う通り、紺珠伝以降『大きな』異変は起きていなかった、ただ、大騒ぎになる程の異変でもなかったと言うだけの話。
魔理沙「えっと、何何?『上空に謎の星出現、理由などは不明……それに関連か、博麗霊夢の姿が忽然と消える』って、霊夢が居ない!?」
魔理沙は文に詰め寄り、両肩を揺さぶり始める。
魔理沙「霊夢が居ないってどういう事だよ!何か知らないのか!?」
文「あや、あややや……魔理沙、さん、落ち、落ち着い、て、下さ、揺さぶる、と首が、折れ、折れます、ますから!」
文の悲鳴と魔理沙の怒号は暫く続き……
魔理沙「……すまん文、取り乱した」
文「い、いえ……あと少しで首が逝きそうでしたが大丈夫です」
魔理沙と文は、取り敢えず現状の報告がてら博麗神社へ向かう事にした。
星が出現した瞬間は誰も知らない事、星からの影響は無く、害があるのかすら分からない事、そして博麗の巫女である博麗霊夢が見当たらない事。
魔理沙「でも博麗大結界は、消えてないんだよな?」
文「ええ、紫さんが維持してる……とも考えたのですが、それも無さそうなんですよね」
博麗大結界、幻想郷を外の世界と隔てる結界で代々博麗の巫女がそれを維持し守っている。
もし、博麗の巫女が居なくても結界の維持はある程度紫によって賄う事は出来る、らしい。
魔理沙「霊夢は居ないけど結界は壊れてないし、紫が維持してるかも分からない……か」
文「まあ、博麗神社に行って紫さんを呼んでみましょう」
魔理沙は文の言葉に頷き、主無き神社へと近づいて行く……
文「あやややや?誰か先客みたいですねー」
魔理沙「見かけない奴みたいだな、誰だ?」
―博麗神社―
しとねは上空の星を見つめながら
しとね「なんだろ、あの星……嫌な感じ」
恐らくしとねの居た外の世界で見た、夜空を覆う影と関係があるのだろうか……などと考えていた。
近くで声が聞こえた気がして、しとねは辺りを見渡すが……誰も居らず、疑問に思っていると。
魔理沙「よう、見ない顔だなお前」
文「霊夢さんが居なくなった上での登場……何か面白い取材のネタが出てきそうですね」
そう言いながら空から箒に乗ったいかにもな魔法使いと、首からカメラをぶら下げた天狗が降りて来ていた。
しとね「……」
二人の登場に、しとねは思わず数歩後ずさっていた。
魔理沙「そんな身構えなくっても大丈夫だっての」
文「そうですねー、魔理沙さんはともかく……私は取材させて貰いたいだけなので安心して下さい、あっ私、射命丸文と申します」
二人が言い合いを始め、それを見たしとねは溜息をついていた。
しとね「……で、何か用でしょうか?」
魔理沙「あー、忘れるところだった空に浮かんでる星の事と」
文「本来ここ、博麗神社に居るはずの霊夢さんの行方について……知る限り教えてくれませんか?」
しとねには説明出来るものが一つも無かった為、その事を伝えると
文「あやややや、やはり紫さんを呼ぶ以外無さそうですねー」
魔理沙「とは言っても、紫の奴どうやって呼ぶんだ?」
三人揃って唸っていると、鳥居の方から……
紫「あら、私に用があるのかしら?」
そちらに目を向けると、何時からそこに居たのか紫が立っていた。
魔理沙「聞きたい事があるんだ、空についても……だが」
文「霊夢さんの行方が知れないって事が一番ですかね」
作品名:第1章・2話『執行猶予』 作家名:U46 410n