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機動戦士ガンダムRSD 第32話 混沌の先に

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 血まみれの人々が口々にそういっていた。
しかしその大人たちの口調は、ひどくうれしそうに感じられた。
サオトメは、力いっぱいその人たちを蹴っ飛ばしたが子供と大人の力の差は、歴然だった。
そうこうしていると水色の巨人が左腕に持っていた巨大な銃をサオトメに向けた。
 その瞬間サオトメは、驚くほどしわがれた声で目を覚ました。
着ている服は、冷や汗でびっしょりぬれておりベッドと掛け布団もぬれているような感じだった。
サオトメは、今自分が医務室にいるのに気づいた。
前にもこのような状況があったからだ。
「俺は、生きてるのか?」
 そういうとサオトメは、再び目を閉じた。
あの時水色の新型機に自分は、貫かれて撃墜されそうになったがその先が思い出せない。
純白の死神としてコロニー軍では、ちょっとなの知れたエースパイロットだったが自分の伝説もここまで。
乗れる機体がなければどんなパイロットもそこまでである。
「ああ、生きてるぞ」
 聞きなれた声が聞こえたのでその方向を見た。
サイジョウ元帥だ。
サオトメは、状況を把握できていなかった。

                                    ※

 ヘブンズベース基地では、機体の整備があわただしく行われていた。
諜報部によれば近くコロニー軍の侵攻作戦があるらしい。
「F73魚雷伽キャミスターは、デフチェイルの第五ビートハッチへ」
「B班、キャムチャックからの補給パーツは10分後に到着する」
「修復データベース更新情報。
ハビのハイドロビデューサーは、グフカスタムにも互換性が確認された」
 基地には、もうすでに旧式のジンやシグータイプも配備されていた。

                                    ※

 ひそかに再建された二代目ヤキン・ドゥーエでは、イザーク少佐がイライラしながら廊下を歩いていた。
その後ろからディアッカ大尉がついてきている。
廊下では、士官が立ち話をしていた。
「しかし大統領は、ロゴスを討つといっても具体的に何をするんでしょうね?」
 士官の1人がロゴスの討ちかたについて話していた。
「名を上げた企業製品の不買運動かな?」
 それを聞いていた士官数人がその回答に笑った。
イザーク少佐の怒りは、限界に達しようとしていた。
「笑い事では、ないわ」
 イザーク少佐は、立ち止まって話していた士官数人に怒鳴った。
士官たちは、何でそんなことを言われたのか理解できずきょとんとしていた。
「実際大変なことだぞ、これは。
ただコロニー軍と戦うよりはるかに」
 イザーク少佐は、ロゴスとの戦いが大変であることを認識できていたためそれを認識できない士官たちが許せなかった。
「イザーク」
 士官たちを怒鳴っているイザーク少佐を何とかディアッカ大尉は、なだめようとした。
「少しは、自分でも考えろ。
その頭は、ただの飾りか?」
 そういうとイザーク少佐は、去った。
ディアッカ大尉は、それについていった。
「お前の頭は、今にも爆発するぜ」
 ディアッカ大尉がイザーク少佐に忠告した。
「うるさい」
 しかしイザーク中尉は、ディアッカ大尉の忠告を無視した。

                                     ※

 デュランダル大統領は、再び演説を行った。
「私も名を上げた方々に軍を送るバカな真似は、しません。
ロゴスを討つということは、そういうことではない。
ただ彼らが作ったこのゆがんだ戦争のシステムは、今度こそもう終わりにしたい。
コーディネーターは間違った危険な存在であると、解りあえぬ化け物となぜ彼らは思うのでしょうか。
そしてなぜニュータイプこそ新人類であると思うのでしょうか。
そもそもいつ?
誰がそんなことを言い出したのですか?」
 映像が切り替わりジェネシスを1機のマン・マシーンがとめる映像になった。
「私から見ればこんなことをできる兵器を作ることができるロゴスの方がよっぽど化け物だ。
それもこれもただわれわれと戦い続けるためだけに続けている」
 そして今度は、戦場の映像に替わった。
「己の身に危険が迫れば本能的にヒトは、皆戦います。
それは、仕方ありません。
だから敵は、討つ。
そして討ち返させる。
私たちの歴史は、そんな悲しい繰り返しです。
戦争が終われば兵器は、要らない。
今あるものを壊さなければ新しいものは、作れない。
畑を吹き飛ばさなければ飢えて苦しむ人々に食料を買わせることは、できない。
平和な世界では、儲からないからと。
牛耳れないからと。
彼らは、常にわれわれを戦わせようとするのです。
こんなことは、もう終わりにしましょう。
われわれは、殺しあいたいわけでは、ない。
こんな大量の兵器を持たずともヒトは、生きてゆけます。
戦い続けなくてもヒトは、生きてゆけるはずです。
歩み寄り話し合い今度こそ彼らが作った戦う世界から共に抜け出そうでは、ないですか」
 そこで演説は、終わった。

                                      ※

 サオトメは、何とか冷静を取り戻した。
「何であなたが?
ここは?
どうして私は、ここにいるんですか?」
 サオトメは、そういいながら起き上がった。
「だめだ、まだ起きるな」
 勢いよく起き上がるサオトメをサイジョウ元帥が制止した。
「ここは、リーンホースJr.の医務室だ。
撃墜寸前だったお前を俺が援護して一緒に帰艦したんだ」
 よく見てるとサイジョウ元帥は、ことの経緯を説明した。
サオトメは、はっと自分の任務を思い出し起き上がった。
「アーガマもどきとボギー2は?」
 サオトメの質問にサイジョウ元帥は、首を横に振った。
「クソ」
 サオトメは、そのままうつむいた。
「私の責任です。
俺があの時調子に乗って禁じられていた最大高機動モードをしたからMk-2は、システムエラーを起こしたんだ。
俺が・・・・俺が・・・・」
 サオトメは、泣き出してしまった。
サイジョウ元帥は、泣いているサオトメの頭を撫でた。
「あの時Mk-2は、すでにオーバーロード寸前だったんだ。
だからお前が最大高機動モードをしようがしなかろうが関係なくオーバーロードは、起きたんだ」
 サオトメは、その言葉を聞くと顔をあげた。
「本当ですか?」
 サオトメは、確認した。
「間違いない」
 サオトメの質問にサイジョウ元帥がうなずいて答えた。
「だからまた本気でお前が戦えるように新型機を受領するためアナハイムに行こうとしている」
 サオトメは、驚いた。
自分が寝ている間にそんな準備がされているとは、夢にも思っていなかったからだ。
「だったら私の準備がまだ終わっていません。
ちょっと持って行きたいものがあるんです。
ガンダムサイガー改をアナハイムに持っていきたいんですがよろしいでしょうか?」
 そういうとサオトメは、起き上がりサイジョウ元帥にお願いした。
「あれを?」
 サイジョウ元帥は、サオトメがなぜあの機体を持っていくのか理由がわからなかった。
「おそらくあれが必要になると思うんです。
お願いします」
 サオトメは、頭を下げた。