太陽と雨
この闇を作り出してしまった原因が白子自身であったことにさえも気が付いておきながら、決して愛しさを覚えることはなかった。大蛇の器である可能性を加味するからこそ変わるはずがないのだ。
「……白子、お前には言ったことがなかったか? ここでは俺が絶対(ルール)だ」
何事にも屈さず己の為すがままに生きてきた男は得られない愛の為、男を手に入れる為に言霊を発する。
そんな彼の言葉に白子の中では言いようのない悲しみが生じた。
近江の空から大量の雨粒が伝い落ちはじめる。
「そうか……。お前が曇家の当主でなければ……よかったのにな」
耳を塞ぎたくなるほどの雨音に白子の声はかき消された。