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さみしさの後ろのほう 6~10

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10

背丈も顔も声もそっくりな俺の友人と恋人。親しくない人では見分けなんて付かないだろう。入れ替われるって事は彼らがその気になれば親しい人でも欺けるのだろう。

「えっと、帝さんといつも何して帰ってるんですか?手を繋いだりするんですか?」

けれど俺は決して制服をしっかり着た菊を帝と勘違いしないだろう。
今菊は演じる気が無いのか菊のままだけれども、例え完璧に帝の真似をしきったとしても俺は間違わない。根拠は無いけど断言出来る。

「いや。っていうかそもそもたまにしか一緒に帰らないしな」
「え!?……どうりで遊びに誘えばアーサーさんがいつも付き合ってくれる訳です。もう、帝さんったら」
ぷすーと頬を膨らませる菊に苦笑いした。
俺が言うのも難だけど、菊の仕草はなかなか可愛い。鈍感な本人はまるで気付いていないけれど、こいつは性別関係無く、仕草は勿論人当たりの良い性格とか、笑顔とかで人気が高いのだ。
けれど俺は菊を抱き締めたいとも、キスをしたいとも思わない。気の合う友達でしか無いのだ。

「あー」
「どうしました?」
「やっぱり帝が好きだなあって」

多分、そう、凄く簡単な事。ただそれだけなんだ。
けれどそれで十分理由に足るんだ。
難しい事は分からない。けれどそんな気がした。

「それは良かった。私も嬉しいです」

菊は目を細めてとても柔らかい、優しい表情をした。
流石本田家次期頭首と言うか、たまに菊も大人びた表情を見せる。

「アーサーさん。折角の機会です。どうか暇つぶしに私の独り言を聞いてやくれませんか?」