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逆行物語 裏六部 ~それぞれの時間~

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カッシーク~上位者の存在~



 毎日がとても忙しい。そしてその分が報われる。私はヨナサーラと毎日、笑みを浮かべている。
 フィリーネが結び付けた縁に、私達は感謝し通しだ。
 フィリーネがローゼマイン様の側近になる為、青色巫女になる話を持って来た時、ローゼマイン様から簡素ながら、手紙を預かって来ていた。フィリーネを側近に引き立てたいと言う申し出には、非情に驚いたが、金銭的な事を考えれば、素直に喜んではやれなかった。しかし、ローゼマイン様はその話をする為、我が家に訪れると言う。
 正直、私達に領主候補生を招き入れる力等ない。しかし断れる力も無いのだ。戦々恐々としながら、私達はローゼマイン様を迎え入れた。
 ローゼマイン様、フェルディナンド様、…そしてヴィルフリート様…。

 領主候補生3人!! しかも内1人は次期アウブ!!!!!!!!

 思わずヨナサーラと共に顔を見合わせ、次いでフィリーネを見て、その顔が驚きに染まっているのを見た。
「ローゼマイン、私達2人が共に行くとは伝えていなかったのか?」
「……忘れて、いひゃいへふっ!!!!」
「叔父上、父上の皮膚と違って、柔らかいので加減してやって下さい。
 カッシーク、連絡が不十分ですまない。」
「と、とんでもないっ、勿体ないお言葉で、」
 目の前の出来事についていけぬっ!!!!!!

 「カッシーク、フィリーネをローゼマインの側近にするに当たって、其方等の事、調べさせて貰った。」
「はっ、」
「率直に聞く。フィリーネは将来、誰かの妾にする積もりでは無かったか?」
 ヴィルフリート様のお言葉に、私は目を見開く。同席しているヨナサーラやフィリーネが私を見た。ヨナサーラは案ずる様な目で私を見、フィリーネは全く思いがけない事を言われたと驚愕な表情をしている。
「何故、その様に思われるのですか?」
 私は慎重に問うた。
「何故、コンラートを産んだ? あの当時の当主はテレージアだ。まさか何も考えずに産んだ訳では無かろう?」
 洗礼前の息子の名前が出た事に、今度は私がフィリーネを見た。だがフィリーネが何か答える前にヴィルフリート様が仰られた。
「其方等の事は調べていると言ったであろう。」
 私、ヨナサーラ、フィリーネの視線がヴィルフリート様に集中する。
「下級貴族の理想は子を男子1人と女子1人を設ける事だと聞く。男子は跡取り、女子は政略に使えるからだと。確かに頷ける。だが理想と現実は違う。テレージアの両親の様に、女子しか設けられなかった場合もある。男子しか居らぬ場合もあるだろう。そもそも2人目が出来ぬ処もある。出来ても魔力量が乏しい事もある。
 しかし上手く行った場合も、この様に上手く行かなかった場合でも、子供に与える魔術具は安定期に入った時点で用意に入る。出産時には現物がある状態にしておく為に。」
 フィリーネの息を呑む気配が伝わった。
フィリーネはコンラートの魔術具が何時用意されたものか、気付いたからだろう。
「其方がコンラートの魔術具を誂えたのは、テレージアが高みに昇った後。手に入ったのは凡そコンラートが産まれて3ヶ月後過ぎでは無いか?」
「その通りです。」
 私はテレージアの産後、出産に力を貸してくれた産婆に長くないと聞いた。故に。

 私はフィリーネを使用人に落とさなかった。