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友達ごっこ

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小学校の頃、俺は同級生や上級生からよく殴られた。目つきが悪いとか、態度が悪いとか、わけの分からない理由だった。俺は複数の奴らに一方的に殴られて、抵抗することも逃げることもできなかった。リンチされている間、俺はひたすら他のことを考えていた。そうやって自分の身に起こっている事を自分の事じゃないように感じて、恐怖も痛みも和らげていた。どうしてこうなったんだろう?俺には分からない事がたくさんあった。そして自分について客観的に見つめ、答えを出す事はとても難しいと悟った。だから、俺は、他人を観察する。

過去の一つの事件だけでその後の人生が全て決定されてしまうと考えるのは愚かなことだ。結局俺は、恐怖や痛みに正面から立ち向かわずに逃げているだけなのかもしれない。別に逃げることは悪いことじゃない。

とにかく、成人した今でも、人間観察は俺の趣味だ。そしてそこには俺の過去の経験も少なからず影響している。

そうそう、俺をリンチした奴らにお返しをしてやった事を話そう。

例えば、俺は直接奴らの家に押しかけて家族と仲良くなった。俺は大人に好かれる方法を熟知していたので、それくらいの事は簡単だった。荒れている奴らの家庭環境には問題があって、ちょっと仲良くなってしまえばその問題をえぐりだし、引っかき回すのは楽勝だった。俺を殴った奴らは、奴らの親に殴られた。あるいは、心に傷をつけられて、自分を損なった。

あるいは、俺は、俺を殴った奴らと友達になった。そしてそいつの友人関係を、そうと分からないように破壊した。最後には元々親友同士だった奴らを奴らの意思で憎しみあわせ、決定的な亀裂を作り出してやった。俺は一部始終を影から見届け、ゲラゲラ笑い転げた。


これは、俺がシズちゃんと出会い、そして別れるまでの話だ。シズちゃんと出会ったのが高校の時でよかった。それより前だったら、俺はシズちゃんにボコられても無抵抗で、無反応で、無関心で、シズちゃんの凄まじさを理解できなかっただろう。それより後だったら、きっと俺はシズちゃんを他の大勢の人間と同じように好きになっていた。

作品名:友達ごっこ 作家名:うまなみ