rebirth
「よし!」
いきなりホリスは膝を叩くと、勢いよく立ち上がった。
「飯は食ったか」
「え?いや、まだだが…」
ホリスは親指で玄関の方を指した。
「足、もう歩くだけなら大丈夫なんだよな?快気祝いだ。下のレストランで奢ってやる」
「あの店、嫌いなんじゃなかったのか?」
以前一緒に食事をとった時は、彼の評価は散々だったと記憶している。
「お前は好きなんだろ?かまわんさ。犬のエサよりは食える」
返事も待たず、先に行ってるからなと彼は出て行った。
私はホリスに感謝した。
ひどく当たり前のことを、今になって知った気がした。
昨日まではなかった。胸に宿った、希望というには心もとないそれ。
世界はリサと私の二人きりではない。
いまだとらわれ、事実グリフィンは私の人生の一部であったかもしれないが、残った全てを飲み込まれるわけではない。
大切なものを失くしても、癒えない傷を抱えても、世界は変わらず続いている。
なら、多少壊れてる頭とガタついた体に、どうにか折り合いをつけてやっていくさ。
そして出来るなら……。
玄関のドアを開けながら、私は週末になったらポリーに電話をしようと考えていた。