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オクトスクイド(2)

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他のゾネスとオーラが既に違う。黒の頭、2本のワカメ。凛とした表情、高い鼻。キリッとした眉、ゴーグル越しでも分かる。真っ直ぐな、それでも獲物を狩るような瞳。
この方が…!
一礼し、ひざまついた。
「この度は第三部隊から移動してまいりました!カンナと申します!精一杯精進して参りますのでよろしくお願いします!」

「・・・・・・。」


・・・・・・・。
・・・・・・まさかの瞬き一つもないノーリアクションとは・・。

待って無言だ・・ゴーグルの奥で睨まれてるんだけどちょっと待ってもしかしてあたしなんか失礼になるような態度取ったか????まさか文法に問題があったかああ終わったもう詰んだ初日から失敗したパターンだこれ・・・・・。

「・・・・・顔ヲ上ゲテ。」
「は、はい!」
半パニックになりながら頭を上げた。
サキ総隊長はあたしの方に近づきゴーグルを外した。自らも膝を付く。
「アナタ凄クイイ目ヲシテルワネ。コレカラノ活躍、期待シテイルワ。」

あたしはぽかんとなった。
さっきの凛とした表情とは違う、優しい目。
新緑の瞳がこちらをまっすぐと見ている。あたしのことを、しっかりと理解してくれようとしている。 先日の鬼のような態度とは何だったのだろうか。
呆けていたあたしを催促するかのように、従者が咳払いをした。我に返ったあたしは、はい!頑張ります!と言った。
「サキ総隊長。失礼ながらミア副隊長は今どこにいらっしゃるかご存知ありませんか?先程精鋭の先輩方にお尋ねしてもわからないとおっしゃっていたので。」
本来ならばきちんと副隊長にも入隊の挨拶をしなければいけないが、ミア副隊長は不在だったのである。
しかし、ミア副隊長は作法に厳しく他の隊の間でもお局様として恐れられている存在なので、正直のところ不在で助かった。とカンナは安堵していた。

カンナがそう聞くとサキ総隊長は従者の方を無言で見つめる。
従者はサキ総隊長の視線を流した。

サキ隊長は立ち上がり、ため息混じりに従者に言った。
「アナタネェ・・・。」
「・・・・どうかしましたの?」
「入ッタバカリノ後輩ニイジワルシナイノ!」
「意地悪じゃないですよ~様子見ですわ。」
「・・・??」
「ホラ、混乱シテルジャナイノヨ。タダデサエ緊張サセテルンダカラ。」
「ちょっとやりすぎましたかしらね~。」
「カンナ、コノ人ガ副隊長ヨ。」
「・・・は、はい?」
「コノ人ガ副隊長、ミア。」
サキ総隊長が手のひらをミアのほうに向けた。ミア副隊長は自身の手を顔に寄せ私ですという風に手を振った。

「えええええ・・・・・。」

私は今までのことを理解し、血の気がサッーと引いた。本来ならば敬うべき相手と軽々しくお茶を飲んでしまったことなどが走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
「ァ、ミ、ミア副隊長とは知りませんでした…とんだ無礼をお許しください…もう切腹します。」
「わー!」




「ごめんなさいね、あなたがどんな人か知りたかっただけですのよ。」
と言って副隊長は手を合わせる。
「いえ、気になりますよね。なので謝らないでください。むしろさっきはご挨拶も出来ずに申し訳ありませんでした。」

深々と頭を下げた。 が、心の中ではしょっぱなから心臓に悪すぎるだろ!!と激しいツッコミを入れていた。
「やめてよ~仲間なんだから畏まらないで欲しいですわ。」
「ソウヨ。シカモ今ノハ100%ミアガ悪イカラ気ニシナクテイイワ。」
ひどくないですわよ~とミア。
もう。といいサキ総隊長は書類を出し何かを書き始めた。
「まぁ、精鋭はこんな感じだから気楽にしててかまいませんわよ。」

・・・・・気楽。確かに最初ほど緊張はなくなった気がする。失礼だが、特にミアに関しては副隊長の威厳も全くないくらいだった。
でも。
「(いやこれ最初だからって安心させてどん底に突き落とすやつですよねこれあたし先日のやつばっちり見てるんですから)・・・・頑張ります!」
と言っておいた。
「ウン。イイ返事ネ。ハイコレ。」
と言ってサキ総隊長は入隊許可証をカンナに渡した。
「今日カラ頑張ッテネ。カンナ。」
ありがとうございます。精一杯精進します。といい、サキ総隊長は下がっていいわよ。と言ったのであたしは書類を持って部屋から出ようとドアノブに手をかけようとした。

「カンナ。」

サキ総隊長にいきなり名を呼ばれて何でしょうかと振り向こうとしたが思いもよらない言葉がかけられる。

「アナタ、隠シ事シテナイ?」

カンナは雷に打たれたかのように硬直した。恐る恐る総隊長のほうを向いた。
総隊長は表情をこわばらせていた。あの時見た訓練の様に。
カンナは目を合わせることが出来なかった。

作品名:オクトスクイド(2) 作家名:Red lily