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オクトスクイド(4) ハイカラスクウェア奇襲編

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確かにフェスが完全に終わってからは仕事を一緒にする機会が減り、二人の時間が減ったのは明白だ。だけど、

「・・・会いたい。」
いつも隣には彼女がいた。うれしい時も悲しい時も。辛いことも苦しいことも二人で一緒に乗り越えてきた。人見知りなあたしと違って彼女は誰にでも普通に接することができるから、何度もそういうときは助けてくれた。自分達が挫けそうなとき、彼女自身も悲しいのに無理してまで明るく慰めてくれた。普段ちょっぴりバカでドジだけど、それも彼女のかわいいところ。あたしにとっては彼女がいつも近くにいることが普通だった。

むしろ、いて当たり前だと思っていた。
当たり前が当たり前ではなくなる。だから余計むなしさと喪失感が自分を襲った。

あたしはシオカラ亭の塀にゆっくりと身を預け、そのまま横に寝転がった。武器を投げ出し、深い呼吸をする。彼女の顔を思い出し、ゆっくりと目を閉じた。
その体勢のままで寝る彼女は・・・。もといシオカラーズのホタルは無防備そのものだった。むしろここで襲撃してくださいと言わんばかりに。
ホタルは唇を柔らかく閉ざし、甘い息を吐きだす。長いまつげがぱさりと瞬きをした。安らかに眠る彼女はまるで無機質な人形の様な、不謹慎な表現かもしれないが誰かのために犠牲になり、美しいまま最後を遂げた亡骸のように寝ていた。

・・・・・・・。
ホタルはおもむろに立ち会がった。何も考えず寝ていたので、着物と髪が乱れていた。
武器を取り出し大きな岩のほうにカチャッと銃口を向ける。

「そっから先は死んでも通らせんよ。」
あたしは柔らかく、そして強く威嚇した。
「早く出てこんね!そこにおるのはわかっとるんやからね!」
鬼のような形相で怒鳴った。

探している彼女に見られたら多分、怖がられてしまうくらいに。
あの岩の陰にタコがいる。人型が。きっと手練れだ。たぶんタコゾネスの中でも上級に当たる、デラタコゾネスだろう。気配、殺気の隠し方が尋常じゃないほどうまい。
一向に出で来る気配がないので舌打ちをしてあたしはチャージャーを打った。
これは戦闘開始という合図。陰から出てきたのはブラスターをもった下級の赤のタコゾネスだった。
なんね。下級か。でもあたしは手加減せんよ。
あたしはチャージャーをもう一度撃つ。インクがズガァン!!と激しい音を出しながら発射される。それを相手は無駄のない動きでかわし、距離を詰めてきた。

こん子、射程の差をなくすために間合いを取る子やね。
・・でもチャージャーが近距離に弱いなんて使う自分がよくわかっとる!!
近づかれる前に、しとめてやんよ!
敵は馬鹿みたいに真正面から突っ込んできた。あたしは敵の懐めがけもう一度撃つ。
バシャン!!
当たった!クリーンヒットだ。敵は撃たれたところを抑え、痛そうにかがんだ。
当たり前だ。一定の量かかれば死ぬ対タコインクを使用しているのだから。
あたしはチャージャーを敵の頭に突きつけた。
「なんで来たのか言わんと・・。撃つよ」
「・・・・。」
「インク、痛いよね?言わんかったら、もっと痛い目に合う事になるんよ?」
「はっ・・・。」
敵は聞こえるか聞こえないくらいの声で吐き捨てるようつぶやいた。
「・・・誰が。」
「・・・・・・?」
声だけ聴けば違和感のないイカ語。相手の顔はゲソで隠れており顔は見えない。しかも圧倒的不利な状況にも関わらず焦るような動作はしていない。
ホタルはチャージャーの引き金に手を置いた。カチャっという音が響く。
もう一度聞くよ、と言ったその時だった。

「誰が痛いとか言ったんだよ?」
「ぐっ・・・・!」
そいつは踵を高く上げ、ブーツのヒールで思いっきりあたしの足の甲を踏んだ。
下駄をはいていたので足を直接踏まれ、ずしっと思い鈍痛が走る。
あまりの激痛に目から涙がにじんだ。

「・・・大事な一張羅を汚しやがって。」

そういって相手はあたしのチャージャーを蹴り飛ばした。自分の届かないところに飛んでいく。あたしがチャージャーを取ろうとすると相手は後ろに飛び、バク転の要領でさらにチャージャーを蹴り飛ばした。
「あっ・・・!!」
完全に届かない場所に武器が飛んで行ってしまった。走ろうにも、足の激痛が収まらない。

まずい、武器があんなところに・・・!
痛みを抑えながらも歩こうとしたが、ゆっくりとこちらに歩んできた敵に道を遮られる。

「あたしに対タコインクは効かない。」
こう吐き捨て敵はブラスターをあたしの額に容赦なく押し付けた。
やばい。撃たれる。この距離では殺されてしまう。
ホタルはぎゅっと目をつぶった。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。

「立場が逆になったな・・・・。」
敵はブラスターを投げ捨てた。ゴトッと地面にたたきつけられる音が響いた。
「今回はお前を倒すのが目的じゃない。あくまで拘束だからな。」
そういって、相手は拳を作り格闘戦の構えをとる。
それに応じてあたしも足の痛みが治まらない中構えた。
「・・・なんでインクが効かんのかはわからんけど、今武器を捨てたことを後悔することになるよ。」
とあたしは左足を前に構え腰を回転させ強烈な右パンチを入れる。何を隠そう護身術を習っていた。アイドルならば自分の身も守らなければいけない。

アイドル兼この世界の平穏を守るヒーローの身体能力は、他の個体に比べて全てが飛びぬけていた。バトルでもなんでも、相手を一撃で倒す。攻撃は最大の防御。それがホタル流のやり方だった。
しかし、その渾身の一撃を相手はパシッとつかんだ。
「・・・ぬるい。」
とつぶやくと同時につかんだあたしの腕を引っ張り、腕をねじった。引っ張られた衝撃でバランスを崩し地面に倒れる。その隙を逃してはくれず、あたしは両腕を押さえつけられる。
「あんまり抵抗するなよ。こっちがその気になれば手足の2、3本折るからな。」
瀬戸際に追い詰められ、動きを止めた。

もう無理か・・従うしかないみたいやね。
ハァ、とため息をつき脱力した。
「・・・・・・・わかった。」
あたしが抵抗を止めると敵は縄であたしの手を縛った。
縄を片付け、無線でターゲットを確保しました。3班、メインの実行に移ってください。と連絡を入れた。

班・・・・?他にも敵がいるって事?
まさか・・・・。わざわざあたしを狙ったのって・・・!!
「まさか、地上に上がるつもりね!?」
「さぁ?」
「そうやね!?だから監視者であるあたしをねらったんやね!!?」
「・・・・。」
相手は何も反応しないが、その可能性が高い。いや、100%そうだ。
それだけは避けなければいけない。自分たちの世界を守るために、オクタリアンを地上に上がらせてはいけない。おじいちゃんもずっとここでオクタリアンが地上に上がらないように守ってきた。
誰にも知られずに。ずっと一人で。
それだけはさせてはいけない。絶対にさせるもんか・・・!!
あたしは縛られたまま身を捩じり相手に訴える。
「地上に上がってどうするつもり!?イカを皆殺しにでもする?それとも奴隷として酷使するつもりなん!?大体そっちがエネルギー源であるナマズを奪ったからこうなったんやろ!?大体地上はイカのものなんよ!!」