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オクトスクイド(4) ハイカラスクウェア奇襲編

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ホタルは悔しさのあまり唇を噛み拳を握りしめた。
元はといえば争いを持ち掛けてきたのはそっち方だ。生活に必須であるデンチナマズを盗んできたのも、私達イカの生活を脅かそうと侵略を企んでいるのも。
・・・・あたしの相棒を奪ったのも・・・!!!

「あたし達イカが、あんたらタコに何をしたっていうんね!!!」
あたしは地下世界全体に響くような声で叫んだ。
敵が、オクタブラスターを拭く手をピタッと止めた。

「デンチナマズを返して!!・・・・・・アオリちゃんを返して!!!!」
許せない。許せない。あたしの大切な相棒を奪ったオクタリアンを。
絶対許さない。
あたしは敵を射抜くような目で睨んだ。
敵は地面に寝かされているあたしと目を合わせるためにあぐらをかいた。
「・・・・お前、アタリメ指令の孫だったよな?」
「・・・なんで、そんなこと。」
「アタリメは100年前、あたし達オクタリアンを攻撃し地下の生活を強いた張本人だ・・。ほぼ全ての同胞から恨まれているだろうな・・・。あたしはお前を監視しろという命で動いているから拘束するだけだけど、アタリメの孫のお前を、縛ったまま何百の同胞の前で放置したらどうなるだろうな?」

ごくっ。あたしは言われていることを理解し喉を鳴らした。
「まぁ無事じゃないだろうな。だってお前らイカはあたしたちの住む場所も、十分な生活が送れるエネルギー源も・・・同胞も・・・すべてを奪ってのんきに暮らしてるんだ。」

100年前、イカはたくさんのタコを殺した。生活に必要なエネルギー源まで奪った。それに限らず2度と太陽の光を浴びることを許そうとせず、地下に幽閉した。それを世間に公表せず、もみ消そうとした。

「返すも何も、あたしたちは自分たちのものを取り返しただけだ。それの何が悪い。」
といってそいつはハンカチを取り出した。
「地上はイカのものだって?ふざけんな。あそこは誰のものでもねぇよ。口に出すより先に、何が正しくて何が間違ってるか考えるんだな。」
と言ってハンカチをこちらに近づけてきた。きっと薬品か何か塗ってあるのだろう。
口調こそは冷静だが、表情が尋常ではなかった。憎しみと憎悪がこもった顔をしていた。
こん子・・・。
ハンカチがホタルの口に当てられるよりも先に、ホタルが探りを入れて質問した。
「タコは相当なイカ嫌いなんやね。なら今すぐにでもイカを、あたしを殺したくはないん・・・?」

あたしは彼女の顔を見て、ただの恨みとは思えなかった。きっとこん子は、生活やエネルギー源を奪われた、というだけではない。きっとイカに何か酷いことをされている。そんな顔をしていた。

ホタルの冷静な表情に敵はハンカチを当てる動作を止めた。
「・・・今すぐにでも殺してやりたいよ・・。」
しかし彼女は睨み返すのをやめ、呆れたようにため息をついた。
「イカってだけで無差別に殺したら、やってることが昔のイカと同じになるからあたしはごめんだ。」
「そう・・・・・・・・・・。」

あたし、あんたたちを誤解しとったわ。悪いことをしとったんはそっちだけじゃなかったんやね・・、それなのに・・・。

もう一度、ハンカチが口に迫ってくる。ホタルは抵抗できなかった。否、抵抗しなかった。
ハンカチが顔に当てられるより前に、ホタルは目を閉じた。
薬品のツンとするにおいが鼻に突く。意識が遠のく。
意識の片隅で、ホタルは思い出していた。

いつか和解できると言っていた懐かしい彼の姿を・・・・。