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逆行物語 真六部~幸福な人生~

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ローゼマイン~最期の逆さ紡ぎ・真実~


 「では…、フィリーネは…、」
「母親が亡くなったから、貴族になれた。そうでなければ、コンラートに魔術具を奪われただろう。」
 今度こそ、私は何も言えなくった。
「テレージアが亡くなり、カッシークは当主になった。フィリーネの話によれば、親族とは疎遠で、洗礼式もカッシーク側の親族が付き添ったそうだ。…どう考えても後ろ楯ではない。
 洗礼式で両親とならなかった実父母一族からの後ろ楯は、双方が必要とし、公式の父母が認めなければ得られない。母無し子になったフィリーネの後ろ楯と言う立場を、テレージアの一族は放棄した。それは当然、コンラートにも及ぶ。
 そしてカッシークは後継ぎであるコンラートを養育する為、ヨナサーラを娶った…。」
 兄様は眉を潜めた。
「ヨナサーラの立場で言い替えれば、タダで雇われた使用人といった処。立場強化の為に、カッシークやフィリーネ、コンラートとの仲を向上させようとした筈だ。カッシークはそれを認めていたが、フィリーネは召し使いと言う見方を変えなかった…。だから子が出来たのだ。」
 兄様は嘗てフィリーネを側近にし、娶った事もある。フィリーネのことを理解していて、コンラートの敵に対しては、フィリーネはヒステリーを起こすと言った。それはヴェローニカ様のベーゼヴァンスを庇う心にも類似していると…。
 そして兄様の言葉にじっと耳を傾けていたフェルディナンド様は呟いた。
「私は冷静ではなかったな…。」
 フェルディナンド様曰く、フィリーネが家を出された、殺されてしまったハイデマリーに重なっていたらしい。だからヨナサーラが悪と決め付け、断罪あるべしで考えていたと…。
「人にはそれぞれの真実がある。…やっと本当の意味が分かった気がする。」
 そう言って、寂しそうに笑った。


 そして時は経ち。フィリーネの家の問題を解決し、私はルンルン気分で過ごしていく。このエーレンフェストで幸せ一杯な未来を築き上げるのだと頑張った。図書館の司書でのんびりと働く夢は高みで叶う予定だし、今はエーレンフェストの為に頑張る!

 だからお父様、ご褒美にぎゅー。

 私とフェルディナンド様は、成人後、2人でお父様に名を捧げた。人としての寿命は短くなるけど、これは私達のけじめだ。これからも皆仲良くエーレンフェストで生きていく。