二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ディアブロスプリキュア!

INDEX|12ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

第2話:悪魔は許さない!!粛清の洗礼教会!





黒薔薇町 某住宅街

「やれ、ピースフル!! 悪魔を滅ぼせ!!」
『ピースフル!!』
 エレミアの命を受けたくるまピースフルがキュアベリアルへと突進を開始。突進力からの打撃で攻めてくる相手を前に、ベリアルはおもむろに目を瞑る。
 結論から言うと、ベリアルにくるまピースフルの攻撃は当たらなかった。彼女は視界を自ら封じていながらも、巨体に物を言わせる相手のパンチを容易に避けた。それどころか、くるまピースフルの懐に潜り込んで強烈なアッパーカットを浴びせる。
 ボコッ―――
『ピースフルッ!!』
 紅色の閃光を纏った打撃がくるまピースフルを上空高くへと舞い上げる。エレミアが目を見張る中、重力に従いくるまピースフルはどんどん加速して、真下にあったブロック塀を破壊し民家の敷地内へと勢いよく落下した。
「図体ばかりなのね。こんなんじゃ遊びにすらならないじゃない」
「く。何という力か……ピースフル!! 悪魔如きに後れを取るな、返り討ちにしろ!!」
 退屈そうな表情を浮かべるベリアルに焦燥を抱いたエレミアは檄を飛ばし、くるまピースフルに命令した。
『ピースフルッ!!』
 くるまピースフルは破壊したブロック塀をベリアルへと放り投げて反撃する。ベリアルは敵の攻撃を華麗に避け、相手の出方を窺った。
 業を煮やしたくるまピースフルは全身から蒸気を吹き上げながら怒り心頭に発した。そして、自身の身体に付いた四つのタイヤを一本に繋げて、まるで剣のように見立てた武器を手に取った。
 くるまピースフルの本気の態度が窺え、ベリアルもまた口角をつり上げる。
「少しは楽しませてくれないとね。レイ、こっちも行くわよ!」
「カリバーチェインジー!!」
 キュアベリアルが従えるスプライト・ドラゴンの使い魔・レイは彼女の身の回りの世話は勿論、戦闘でも彼女の手となり足となる。
 声高らかに宣言すると、レイはドラゴンの姿から西洋の剣を模った魔剣へと変わった。ベリアルは武器である【魔剣レイエクスカリバー】を携え、くるまピースフルと対峙した。
 両者は睨み合い、攻撃を仕掛けるタイミングを計る。そして刹那、両者は同時に剣を携え前に出た。
 カキンッ……カキンッ……
 タイヤでできたくるまピースフルの刀身と、レイの翼が刃として変異した魔剣はお互いにぶつかり合う。だが単純な威力もさることながら、ベリアルが持つ純粋な技術力がくるまピースフルを上回り――
「はああああああ」
 ベリアルは圧倒的な力を見せつけ、くるまピースフルの剣を弾き飛ばし返り討ちにした。剣を弾いた際に生じた衝撃波によってくるまピースフルは後方へと飛ばされ、エレミアと衝突した。
「ぐおおおおお」
 エレミアはくるまピースフルと共に地面を激しく転がりまわった。やがて顔を上げると、土ぼこりに塗れた険しい表情をベリアルへと向ける。
「さて、そろそろ終わりにしてあげようかしら」
 ベリアルの目はプリキュアという言葉に反するほど冷徹だった。彼女がレイソードをおもむろに掲げ、くるまピースフルともどもエレミアへとどめの一撃を加えようとした瞬間――くるまピースフルに抱きかかえられながら、エレミアは上空へと飛び上がった。
「不本意だが、ここは退かせてもらうぞ!!」
そう言って、足元に魔法陣を展開した彼はくるまピースフルを伴い魔法陣の中へと消えて行った。
 あと一歩というところで仇相手を逃がしたことに、ベリアルは非常に悔いた。思わず舌打ちをした彼女は、戦う必要が無くなったことで変身を解除した。レイも元のドラゴンの姿へと戻り、リリスの肩に止まりながら、エレミアたちが消えた方角を向いて言った。
「逃げられましたね」
「都合の悪いときはいつだって逃げる。奴らはそういう連中じゃない」
「リリス様。奴らが来たということは、目的はやはり……」
「ええ。だけど奴らが来たことが必ずしも悪いことだとは限らない……私にとっては願ってもいなかったチャンスだから」
 この十年間――リリスは洗礼教会を待ちわびていた。なぜ彼女がエレミアの所属する組織に強い敵意を抱くのかは、これから少しずつ分かってくるだろう。
 エレミアとの戦いを終えたリリスは一息つくと、戦いが始まる際に提げていた買い物袋を投げ出してしまったことに気がついた。
「あ……私、買い物袋どうしたのかしら」
 周囲を見渡していると、レイが肩から飛び立ち、横たわっている買い物袋を見つけてその上を飛び回って場所を教えた。
「リリス様! こちらにありますぞ!」
 急いで駆け寄ったリリスは、がれきの下敷きにならなかったことにほっと胸をなで下ろした。
「中身は……無事のようね。ようやく会えた仇敵、次に会ったらタダじゃおかないわ」
 買い物袋を引っ提げて家路へと向かうリリス。だがこのとき、彼女は一つの重大なミスを犯してしまった。そしてそのミスに気付いたとき、彼女の生活は大きく変わり始めるのであった――――

           ◇