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ディアブロスプリキュア!

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西暦二〇XX年
日本 黒薔薇町(くろばらちょう)

 麗らかな日和。春は出会いと別れの季節だ。
 そして四月の今日は前者――出会いの刻。ピカピカのランドセルを背負い、緊張な面持ちで歩く子どもとそれを見守り歩く親。少し丈の長い真新しい制服の学生に、春休みが終わり、けだるい様子で歩く学生。あるいは、ビシッとスーツが決まった社会人。それぞれ人生の新たな門出を迎えた者たちが思い思いに行き交う河川敷に、一人の少女が歩いていた。
 少女は紅色を基調とした学生服に身を包み、黒のミディアムヘアを風になびかせながら歩を進める。
「リリスちゃ――ん!!」
 不意に後ろから聞こえる甲高い声。黒髪の少女が振り返ると、ブラウンのショートボブを揺らしながら、全速力で走ってくる少女の姿が彼女に近づく。
「おはようございま――す!! 今日から二年生ですね――!!」
 黒髪の少女は同じ学校の制服を着ている少女が自分の元へ追いつくのを待つ。まるでそれが幼少の頃からの決まりであるかのように。
「はるか……声、出し過ぎよ」
親友の天城(あまぎ)はるかを諌めながら――悪原(あくはら)リリスは耳を塞いだ。

           *

『私立シュヴァルツ学園』

 東京二十三区にある町・黒薔薇町管内にある私立中学校。
元は聖書やキリスト教神学を教えるミッションスクールとして設立されたが、やがて入学者の減少に伴い存続の危機に陥った。苦慮の末、学校側は東京都が提示した合併方針を受諾。いくつかの学校との統合によってそれまでのミッションスクールから一転、男女共学の進学校として生まれ変わったのは今からちょうど十年ほど前の話である。
 ミッションスクールだった事から、造りは修道院に多く見られるロマネスク様式。日本に居ながら気軽に外国にいる気分が味わえるという事から、生徒だけなく教師陣からも高い評価を得ている。近年では小さな観光地としてSNSなどを介して広く知られるようにもなってきた。

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