赤き夢より覚める朝
――道明寺、あたしはあんたが好きだった。たしかにあんたを愛してたよ。あんたとの日々は、夢のような現実だったよ。あたしはあたしらしく、未来をみつける。ありがとう、道明寺。
――――
いろいろ悪かった。笑ってろよ、牧野。
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つくしは携帯電話をメッセージごと抱きしめて、泣き崩れた。
*
つくしの燃えるような恋が終わろうとしていた。
けれどつくしは、ひとりでなかった。
涙の向こうにゆらゆらと揺らめくだけのどうしようもない現実を、温かな優しさがそれごとすべて包み込み、静かに見守っていた。
Fin.