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鳥籠の番(つがい) 3

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その先の、最悪の事態を口にしようとするカイを思わず止める。
アムロは生きている、どんな状態であれ、必ず生きている。
ブライトはそう信じずにはいられなかった。
「悪い、あくまで推測だ。まぁいずれにせよ、もう少し調べてみるさ」
「ああ、頼む。俺の方も可能な限り調べてみる。それで、お前は今何処に居るんだ?」
「俺か?俺は今スウィート・ウォーターに居る」
「スウィート・ウォーター?難民収容用のコロニーか」
「ああ、ここで“シャア・アズナブル”が組織を立ち上げたとの情報を得てな。ガセかもしれないが確かめに来たって訳さ」
「シャア・アズナブル…?」
「ああ、内部から連邦を変革させる事をやめた男が次に考える事と言えば?」
カイの言葉にブライトはハッとする。
「連邦に対抗でき得る組織を立ち上げる…」
「ああ。そして、あいつにはその力も、血筋もある。おまけにあの見た目とカリスマ性だ。充分に可能だろう」
確かに、カイのいう事は尤もだ。
しかし、同じ陣営にいた時は心強い存在だったが、敵に回るとなると、その実力を知っているだけにその脅威がどれ程のものか想像できる。
それに、今はアムロが居ない。
ブライトは、背中に冷たい汗が流れていくのを感じる。
引き攣るブライトの顔を見つめ、カイが小さく溜め息を吐く。
「そんな顔するなよ、ブライト。まだ本当のところは分からないんだから。とりあえず何か分かったらまた連絡する」
「あ、ああ。よろしく頼む…お前も気を付けろよ」
「分かってるよ、じゃあな」
カイは通信を切ると、身支度を整える。
「さぁて、行きますか」

ホテルを出ると、その筋の人間から得た情報を元にスウィート・ウォーターの町の中へと向かって歩き出した。
そしてそこで、カイは信じられない光景を目にする。


シャアの屋敷だと思われる建物がある場所へと続く道を歩きながら、行き交うエレカや人波を流し見る。
「屋敷はあの門を潜って更に奥か。流石に警備が厳しいな」
カイは踵を返すと、そこに潜り込むのは断念して通り沿いにあったカフェへと入る。
オープンテラスの、道路がよく見える席に座り、新聞を広げながら周りの様子を伺う。
「前に来た時よりも街が整備されている…それに、住人の暮らしも向上しているようだな…」
ボソリと呟きながらコーヒーを啜る。
すると、そのカイの目の前をリムジンタイプのエレカが通り過ぎる。
勿論窓は黒いフォルムで見ないが、カイはメガネに仕込んだ特殊なフィルターでその中を見る事が出来た。
そして、その中にいた人物に目を見開く。
そこには、金髪碧眼の端正な顔立ちをした男と、ネオ・ジオンの制服と思われる軍服を身に纏った自分の良く知る人物が乗っていた。

『…アムロ!?』

そこに乗っていたのは、間違いなくシャア・アズナブルと、かつての戦友、アムロ・レイだった。
『そんな…バカな…!』


to be continued...


作品名:鳥籠の番(つがい) 3 作家名:koyuho