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はじまりのあの日20 結婚式

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先導役の天使様が迎えに行って、残る全員は、リビングの扉前へ移動。クラッカーや紙吹雪を用意

「これより、新郎新婦、入場です」

女性プロデューサーが告げる。農家のおばあちゃん、店の女将さんによって開けられた扉

「これよりけっこんしきです」
「ごにゅうじょうで~す」

リュウト君、ユキちゃんを先導に、入って来る二人

「まぁまぁまぁ~、お姉様ぁ~可愛らしいですわ~」
「重音が言う、まさに『メイコちゃん』って感じじゃない」

まずは祝砲一番、クラッカーを爆ぜさせるルカ姉。紙吹雪を捲く紫様。オデコを出して、リボンの多いベール、フリルのウエディングドレス姿のめー姉

「ありがとう、みんな。うふふふふふ、幸せね~」

手を振って、破顔、顔中笑顔。腕を組むカイ兄も上質な生地のタキシード。衣装と別次元の格好良さ

「Cool(カッコイイ)でゴザル。ヨッ、カイト殿~」
「へへへ、幸せなツラだな、カイトタン」

アル兄、紙吹雪、同じくテト姉。ただしテト姉マイペース。もう片手にはシャンパングラス

「ありがとうね、アル。うん、テト姉さん、オレ今すごく幸せ」

微笑みが輝くカイ兄。めー姉の後ろには

「メイコさん、ホントにキレ~」
「WeddingDressステキデス~」

ヴェールをもつ、いろはちゃん、オリバー君。みんな二人と共に、移動しながら祝福。紙吹雪を捲く、おじいちゃん。おばあちゃん、ふたりの肩を叩いて祝福。両者が着席すると

「これからの式は素晴らしいものに成ることでしょうね」
「マ~ジ美人だな~メー姉。カイト幸せにしてやれよっ」
「リ~リ、大丈夫よっ。アタシ今もう、十分幸せだから」

テーブルの前、みんなで拍手。祝福の言葉に、手を振るめー姉

「すごいね、ピコきゅんっ。PROJECT内結婚式だよ」
「参加前、観てた時には考えられない事です~」

色違いドレスのピコ君とMikiちゃん、微笑み合う

「コレ程エニシの深き間柄トハ、考えも及ばぬ所でゴザッタ」
「み~んなで支え合いだよね~。困ったら救けぁ~ぃ(たすけあい)」

アル兄は紋付き袴、IA姉、ワンピースのふわふわドレス。支え合い、そう、お互いに支え合う。だから、役割を演じて、歌って生きていける

「カイトさん、メイコさん、おめでとうございます」
「めでたい、たいタイ、おめでた~い」

めぐ姉の微笑みと、カル姉の破顔。生まれも家柄も、血筋も違う。でも、神威の兄妹、新たにやって来た歌い手のみんな、心の底から祝福。いつだか、紫様が言っていた。全部違うわたし達が、助け合って今、ここで結婚式まで挙げている。支え合い、救け合い

「さぁ、まずお二人に夫婦となっていただきましょ~」
「メインを忘れんじゃね~ぞ~」
「結婚式なんだからね~」

プロデューサー三人の声で、立ち上がる二人わたし達の中から、一人の人物が二人に歩み寄る。商店街から少し離れた場所にある神社の神官さん。夏祭りの公演に呼ばれたこともある『顔なじみ』のおじさん。一度神聖な雰囲気に

「アタシ、メイコはカイトを支えます」
「オレ、カイトはメイコを支えます」

誓いの言葉、三三九度。で、流儀を変えて、指輪の交換。この辺り、融通の利くお方

「はい、二人とも目線ちょうだ~い」

互いの指にはめた所で、目くばせを要求するミク姉。砕けた空気に一遍。大将さん、女将さん、料理の準備にかかる。ケーキ入刀も観たがってたけれど、プロ魂、調理開始

「おっきなケ~キ~」
「ナイフ入れだ~」

ユキちゃん、いろはちゃん、ケーキでテンションが上がっている

「今回はモノホン(本物)ッス~」
「前回はしょぼくて悪かったじゃない」
「でも、二人とも嬉しそうだったよ、がっくん。あ、今日はもっと嬉しそうだけどさ」

勇馬兄、前の半分ケーキのナイフ入れを思っての言葉。隣の彼、少し申し訳なさそうだけど、わたしは素直に感想を言う

「それではケーキ、にゅ~と~」
「ご多幸を祈念いたします」
「新婚さ~ん、イエ~イ」

入刀の声で、剣道の構えをとる弟。拍手をおくるキヨテル先生。撮影を続け、喜ぶミク姉。みんなの拍手に

「ありがとう、ふふ、幸せで溶けちゃいそうね~」
「オレも。何だかバチでもあたっちゃいそう」

心から微笑む、メイカイ夫妻。その姿は、本当に眩しいほどで、だから憧れた、めー姉の姿に。心の何処か、いつか『成りたい』と思った。あの日、式の中盤、昨日の疑問を投げかけた

「めー姉、結婚って何なのかな~」

姉のワイングラス、お酌しながら尋ねてみる

「ふふ、注ぎ方も上手になったわね、リン。ん~、何かしらね『支え合い』『救け合い』かしら」

ここでも出てくるこの言葉

「一生ね、救け合って、支え合って、過ごしたい人と一緒になる。それが結婚かしら。自分が救けて欲しい時、救けてくれる。その人が救けを求めたら、救けたい。一緒に居るだけで救われる、そんな人と一緒に成ること。アタシは結婚ってそんな感じ」
「オレ、同意」

会話が聞こえていたのか、隣のカイ兄、話しに加わる

「オレはめ~ちゃんを支えたい、生涯掛けて。オレが支えて欲しいとき、め~ちゃんが隣に居るだけで、心の支え。オレもおんなじ。だから今日、一緒に成ったのかも。あ、ありがとうございます」

言い終えて、大将さんのお酌を受ける、カイ兄。と、女将さん、大将さんも

『カミさんが居なきゃ、店が回らねえや。オ~レも同じかもなぁ』
『アンタも苦労かけるねぇ』

支え合いを肯定する

「リン、考えてみたら。一生支えたい人。生涯、支えて欲しい人。救け合いたい人の事。ゆっくりと、ね」
「前にも言ったよね、リンの想うままに、だよ」

若干、励まされた感があった。だからわたし、その日の夜、後片付けを終えて。結構な塩梅に疲れて。床についたその時、微睡む寸前、考えた。支え合いたい人、救け合いたい人。側に居るだけで救われる人。このPROJECTの中にしか居ないと思った。そして眠った。夢を観た。紫の彼と歌う夢。わたしは8歳のあの日に戻って、今も変らない彼と歌う、夢を観た。だから、朝起きて自然に『勘違い』した

「そっか、がっくんと歌って生きたいんだ」

そう『結婚』したいと想わずに。どれだけ鈍いのだろう。わたしはあの日の自分に呆れることで、今へ帰ってきたらしい。あ、お湯は多めに沸かしておこう