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はじまりのあの日20 結婚式

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目が覚めたら、朝ご飯の良い香りが漂ってきて。イソイソ身支度済ませたら、丸テーブルにごはんが並んで。ご機嫌で朝食を平らげて

「はいっリンちゃん可愛くできあがり~。簪もぴったりだね」
「ありがとおっ、めぐ姉~」

神威の家で着飾って。わたしは、めぐ姉のお下がり晴れ着。ドレスや洋装を着る機会は、他にある。だから、結婚式の日は姉と同じにしたかった。前々から考えて、めぐ姉に伝えると

「じゃあ、わたしのお下がりで良ければプレゼントしちゃうよ、リンちゃん」

と、思いがけない贈り物を言い渡されて。さすがに申し訳無いと辞退を申し出たところ

「ううん、受け取って~。取っておいても着られないもの。リンちゃんに着てもらった方が、晴れ着も喜ぶよ~」

素敵なめぐ姉スマイルに押されてしまい、図々しく頂くことにした晴れ着。今、その姉に着させて貰って

「りんりん、お似合いあ~い」
「マジ良いじゃん、お下がりにみえね~ぞ」

同じく着替えていた、カル姉、リリ姉は大正時代のハイカラ娘さんのような和装。大学の卒業式で着る女性もいるという、アレ。撫で回してくれる、二人の姉

「着替え終わったら行こうじゃない、準備もしないと。お客様も来るじゃな~い」
「ねえさま、おきがえすみましたか」

着替え終わった、男子に呼ばれ、部屋を出ると

「お、リンぴったり。晴れ着も嬉しそうじゃない。簪もソレ付けてくれたんだ」
「りんちゃん、おにあいです」

上等な着流しの紫様、カッコイイ。ただ『晴れ着喜ぶ』『晴れ着嬉しい』の発言に、兄妹の縁を感じて

「めぐ姉、やっぱりがっくんの妹だね。晴れ着が喜ぶって、めぐ姉も言ってたよ~」

羨ましいと思ったあの日のわたし、言ってみる。すると紫様

「リ~ン、何言ってんの。リンは俺の妹って言ったじゃない
「あ、そっか~。わたし、がっくんの妹だね~」

そう、中華の町で言ってくれた『俺の妹』と。思い出して嬉しくなった

「まあまあ、リンちゃん、お似合いですわ。ふふ、本当に『神威の妹』ですわね」
「う~ん、『末』じゃなく『家』にならないかなぁ。同じ女偏付くなら~」

よそ行きドレスに着替えていた、別室のルカ姉、褒めてくれる。ミク姉の言葉の意味は解ってなかった

「何かわかんね~けど、着替えたら行こうよ。時間ないんだろ~」

彼らとよそ行きに着替えていたレン、急かす。みんながよそ行きの格好で、マンションに集まって

「お、センセ似合う~。ウチとオソロ(お揃い)感あるし~」
「Mikiさん、ピコさんから、ご指摘いただきまして」

大正時代の『書生』風キヨテル先生。お揃い感で、リリ姉ご機嫌『サンキュ』とMikiピコちゃんにお礼。新郎新婦は、別室にて、着付けの真っ最中で。他のみんなは、お客さんの対応や、ケータリングの食事、届くお酒や、プロデューサーさん達の差し入れを並べて

「うい~帰ったぜ~」

帰ってきたテト姉、土産物の大盤振る舞いして。慌ただしくしているうち、お客様、兼、料理人様、特注のウエディングケーキ達も到着して。また、お茶を出したりお菓子を盛ったり、ケーキを飾ったりてんやわんや。この日紹介されたのがPROJECTに憧れているという

「は、初めまして、心響です」

心響ちゃんだった。緊張しまくりのこの時まだ10歳。少しだけ、と、わたし達のプロさんが歌わせたところ

「もっとしゃくりを入れると、深みが出るよ」

紫様のご指摘。もう一度おなじメロディーを歌うと、これが本当に上手くなって

「教え甲斐があるじゃない。良いな、こういうのも」

と、紫様、別の道にも興味を示す。そのうちスタッフさんが入って来て、新郎新婦、整ったと告げられる