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代打の代打
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はじまりのあの日21 ミクの誕生日

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大体の調理が整う段階で、わたしはお料理運びに参加する

「がっくん、冷蔵庫のガスパッチョは~」
「ああ、リン、タルタルソースと一緒に運ぼうじゃない」
「うんっ」

余りのトマトで作った、冷製スープ。これがまたおいしいのだ。小鍋二つ、キャスターに乗せる

「Mikiちゃん、お寿司ももう運んで良いよ~」
「はいさっカイトアニさん」

わたし、冷蔵庫から取り出すスープ。Mikiちゃんと共に宴会場へ。作る人手伝う人、運ぶ人。みんなみんな、たのしんでいた。すでに、めー姉、テト姉は飲んでたんだけど。ホールで、料理を並べる。テーブルの上は既に大宴会

「わ、すご~い。ホテルのビュッフェみた~い」
「うっわ~もう、この香りがハンパね~っす」
「あにさまのたるたるで、ろぶすた~。むねあつ、むねあつ」

茹で上がったロブスター、敷かれた野菜。大皿三つと共に来るめぐ姉、勇馬兄、カル姉。神威家調理組もご馳走を並べる

「めぐ姉達のもおいしそ~。わ~すっご~い」
「ふふ、がんばっちゃった。って言っても煮込むだけだもん、手抜きでごめんね~」

眉が下がるめぐ姉。そんなことはない、しっかり一手間加わっている。殻を剥いで、エビ味噌は又別に分けてくれている。頭は揚げて、お煎餅状態に。殻を上げたのは、勇馬兄の案だろう。いつだかも『骨せんべい』作ってくれた

「ガクサンの料理、まだある、リン」
「カイ様ごはん、まだ運ぶ、りんりん」

聞く、勇馬兄、カル姉。まだ運ぶものがあるので

「うん、ごめんねぇ、めぐ姉、手伝って~」

わたし、先頭でキッチンへ戻る。至上の香りが漂ってくるその先、調理場へ足を踏み入れる。そこには、温かい系の料理が、台所テーブルに並び始めていた

「鯵フライ、出来たて運んで~」
「カイ兄、おれ運ぶ。あ~美味そうッ」

たった今、作りたてのノン鯵フライ、弟悶絶。揚げない鯵フライ

「コロッケも作りたて、美味いの食べて欲しいじゃない。はいよ、運んでリン」
「ありがとがっくんっ。あああ~た~べ~た~い~」

同様に、ニオイだけでよだれが出るコロッケを渡される。今度は、赤色の強いハヤシソースを煮込む彼。トマトから作った特製のものだ。金色のオムレツを作るカイ兄。このオムレツだけでも大ご馳走だが、二人はもっとトンデモナイ料理にすると言っていた。その完成を経て、大宴会の幕が開く。お預け状態で、揚げ物二種を弟と共に運ぶ。向かった先のホールでは

「コップやお皿、お菓子を並べま~す。お手伝いできるひと~」
「「「「は~い」」」」
「では、リュウトさん、ユキさん、いろはさん、オリバーさん。走らないように、気をつけて、お手伝いおねがいします」
「あわてなくて良いからな~。キッチンから、気をつけて運ぼ~ぜ」
「「「「は~い先生、リリちゃん」」」」

微笑ましい光景が広がっていた。キヨテル先生、リリ姉のエプロンは、黒のシックなものなのに、リュウト君、ユキちゃん、いろはちゃん、オリバー君がほどこしたかわいらしいアップリケがついている。ねこ、かいじゅう、リンゴを載せた、船の、アップリケ。そのアップリケエプロンを四人に贈られたとき、二人の目尻は下がりっぱなしだった。六人、連れだって、ホールを出てゆく。入れ違いに

「うっわ、すっげぇうまそッ。さっすが、カイサン、がくサン」
「ぽ兄ちゃんとカイトさんのごはんだもん。絶対おいしいよ」

彼、カイ兄特製のフルーツ・オレを持ってくる勇馬兄、めぐ姉。目を輝かせ言う。作っていたときは気にならなかった腹のむし。急速に、胃袋が、ごはんよこせと大暴動。おなかが鳴る。テーブルの上に並ぶごちそうが、星のように輝いている

「これ、レストラン開けるよね、カイトアニさん達」

Mikiちゃん、金目の煮付けをキャスターに乗せ、やってくる

「ぼく達、ホントに幸せですね~」
「あにさま、かいさまの幸せご飯」

お揃い衣装のピコ君、カル姉。それぞれメンバーもテーブルに寄ってくる

「わ~すご~い。何でもあるね~」

IA姉の手にはチーズリゾット。テーブルに並ぶ、大きな金目の煮付け。カンパチ、アジ、トロ、カワハギの刺し盛り。サーモンのなめろう、にぎり寿司においなりさん。ハモの湯引き。アボガドのディップにロブスター。ほかほかの煮豚、肉ジャガも。自家製の漬け物も。手間がかかっているの見てとれる。揚げたてコロッケ、鯵フライ。ローストビーフ。鶏肉と野菜のサンドイッチにフルーツサンド。オムチャーハン、シーフードパスタ。トッピング自由のラーメン。ホットケーキ。吟味されたスイーツ。おかずに、おつまみ、ごはんもの。デザートまで、まさに至れり尽くせり

「お、神威ごくろ~」
「心して食べるがよい」
「「「「ありがと~、おに~ちゃ~ん」」」」

テト姉と彼のやりとり。エプロンのままキッチンよりやってくる二人。同時に入ってきた天使様。全世界のお兄ちゃんだけでなく、お姉ちゃんも打ち抜かれるエンジェルのスマイル。ダメージコントロールをしてくれたのは、後からキャスターを押してきてくれたキヨテル先生、リリ姉の声

「これからまた、すげーのが加わるぜ~」
「本当に素晴らしい逸品になるはずですよ」
「あ、うん。危なかったね、殿」
「鍋落としそうだったじゃない」

二人がテーブルに寄る。その手には、片手鍋とフライパン。カイ兄が、チャーハンにオムレツを載せる。ナイフで中心を切る。広がる半熟、黄金玉子。彼、そこに熱々のハヤシルーをかける。赤みの強いハヤシルー。目の前で完成されるご馳走。見た目と香りだけで、もう食欲が暴走、上がる歓声

「ちょ、ぽ兄ちゃん反則~」
「あんたたち、こんなおいしそうなの目の前で作って~」
「さ~始めようじゃないメイコ。お・ま・え・達~、心して食べようじゃな~い」

心していただきます。でも

「がっくん、お疲れさま。お料理ありがと~」

わたしは、タオルを差し出す

「ありがとう、リン。何言ってるの、一緒にお料理がんばってくれたじゃない」

微笑み言って、撫でてくれる。ありがとう紫様。貴男のナデナデが、最高至高のご褒美です。宙返り返りして喜ぶ心をなだめつつ

「カイ兄もお疲れ、二人とも汗だくでしょ、先にシャワーあびちゃう」

四時間近く、ずっと、鍋をふるっていた二人。感謝の言葉をのべ、わたしなりの気遣いをする

「そうそう、あびてきたら~。二人で一緒に。カイがく、がくカイ、受けと攻め~」
「重音さん」
「ごめんなさいっ先生っ」

軽口に、目を細める先生。土下座で謝るテト姉。エプロンを外しながらカイ兄が

「や、待たせたくないし、冷めないうちに始めちゃおう。鮮度命の料理もあるからね」
「みんな待てないって顔してるじゃない。リンもお腹すいたんじゃな~い」
「うん、実はペコペコ」

照れ笑い

「ごめ~んうちも始めた~い。に~さんズのオムハヤシがトドメ~」
「サーセン、自分もはらぺこっす」
「拙者モ、ポン酒欲ガ暴走し始めたでゴザル」

身悶えMikiちゃん。情けない顔で腹の虫と格闘中の勇馬兄。お酒欲とバトル中、アル兄難しい顔。メンバーからも、開始を急く声が上がる

「さ~、それじゃあ始めるわよ~」