はじまりのあの日22 違和感の正体と告白
わたし、理由を解っていなかった
「神威さん、心中お察ししますわ」
「ルカ、お前も一緒の身の上じゃない。しかもライバルは反則なし、お互い難儀なもんだ」
十字を切るルカ姉、彼と同じ、複雑な笑み。わたしはただ、みんなから祝福されているだけ、と思ってた
「お、ナンダかむい~ぃ。ふえっふぇっふふぇえ、さっそくコトに―」
「大事な話、茶化すんじゃない。お前自分で言ったじゃない、さっきのマジレスはどうした」
「重音さん、少しお話し、しましょうか」
彼、テト姉の言葉に耳を傾けない。咳払いをして、キヨテル先生が立ち上がり、テト姉の方へ向かった。その場で何が起こったかはわからない。ただ、テト姉の『断末魔』が聞こえた気はした。わたしは彼に手を引かれ、喧噪から少し離れる。ホールを抜け出し、移動。やって来たのは、はじまりのあの日
「ここでいいな、うん、此所がイイ。俺達にふさわしい場所じゃない」
「あ、そだね~ぇ。リボン、結んでくれた」
わたしと彼を『結んで』くれたエントランス。鏡のまえ、その場所で、振り返ってくる彼。眼差しが、いつも以上に真剣だった
「リンが、俺を好きになってくれた。うれしい、本当に。でさ、それが分かったから。これからも仲良しでいようじゃない」
「うん。がっくんとわたし、恋人になったんだよね」
そこでわたしの前に跪く。両手がわたしの肩に乗る。真剣な瞳に打ち抜かれる。目を閉じて、首を横に振る彼
「『恋人』になるのは、キミがも~少し大人に成ってから、ね。それまでは『仲良し』さん。何時か、花火しながら言ったじゃない。ずっと一緒、仲良くしようって」
その言葉に、気持ちが沈む。不安になる
「がっくん。わたし、恋人にはなれないの」
無茶を言ったものだと、今は思う
「今は、ね、でも約束する。俺はいつもキミの側に居る。一番の『仲良しさん』で。キミがもっと大人に成る日まで。俺は必ず側に居る。キミが、俺に飽きない限り」
頬を両手で包んでくれる。やっぱり、彼が好きだと自覚する
「はっきり言う。超えなきゃならない壁、多い。しっかも高くてエッグイ壁じゃない。俺、大人。キミ、子供。俺とキミが『恋人』に成ったら、どうしても『後ろめなきゃ』ならないの。俺はイヤだ、大好きなキミと『後ろめたい』間柄なんて」
けれど辛い、彼の顔を観るのが。切ない表情を見ることが
「キミの歳じゃまだ、結婚出来ない。さっき言ったの覚えてる。俺『大人』キミ『子供』歳だけは、ね」
彼の顔、真実を言う彼の顔。つらい、つらい、とてもつらい。わたしはどれだけ迂闊に、彼を傷つけていたのだろう
「でもね、俺はキミが好き『キミ』が好きなの。どんなキミであっても。俺は大切にしたい、キミを。待ってくれないかな、リン。俺も待つ。キミが大人に成る日まで」
イタイ、イタイ、心が痛い。大好きな彼に、大好きと言ってくれた、優しい彼に。こんなにも辛い思いをさせる、わたし
「結婚ができるまで。二人で大切に、思い出作っていこいじゃない。キミとなら、きっと『壁』超えていけるはず。超えたとき『ああ、全部良い思い出だったね』って、きっと言えるはずだから」
「ん、わかった『何となく』わかった。そうなんだね、わたしとがっくん『恋人』はダメなんだね」
『解った』と言って『納得』はしていなかった。あの日はきっと。でも、彼を悪者にはしたくないから
「でも。待っててね、がっくん。約束だよ、待っててね、わたしが大人に成れる日まで。わたしと一番の仲良しさんでいて。いつもわたしが一番でいて」
聞き分けの良い『フリ』をした。紫の彼、何時かしたように、顔の前、小指を出す
「約束する、リン、俺はいつも一番の仲良しでいる。リン、大好きだ」
交わしてくれた指切り。そして
「今は、こんな事しか出来ないけど。俺の精一杯の好き表現。リン好き」
「ん、がっくん大好き。結婚、かなら―」
初めて、思い切り抱きしめてくれた。渾身の力で抱き返した。抱き返しながら泣いた『何となく』を思って。埋められない『差』を感じて。超えなければならない『壁』の壮絶さを考えて『結婚必ずしようね』とは言い終われずに。抱きしめられながら、思いっきり泣いた。泣いて泣いて、泣き喚いた
「神威さん、心中お察ししますわ」
「ルカ、お前も一緒の身の上じゃない。しかもライバルは反則なし、お互い難儀なもんだ」
十字を切るルカ姉、彼と同じ、複雑な笑み。わたしはただ、みんなから祝福されているだけ、と思ってた
「お、ナンダかむい~ぃ。ふえっふぇっふふぇえ、さっそくコトに―」
「大事な話、茶化すんじゃない。お前自分で言ったじゃない、さっきのマジレスはどうした」
「重音さん、少しお話し、しましょうか」
彼、テト姉の言葉に耳を傾けない。咳払いをして、キヨテル先生が立ち上がり、テト姉の方へ向かった。その場で何が起こったかはわからない。ただ、テト姉の『断末魔』が聞こえた気はした。わたしは彼に手を引かれ、喧噪から少し離れる。ホールを抜け出し、移動。やって来たのは、はじまりのあの日
「ここでいいな、うん、此所がイイ。俺達にふさわしい場所じゃない」
「あ、そだね~ぇ。リボン、結んでくれた」
わたしと彼を『結んで』くれたエントランス。鏡のまえ、その場所で、振り返ってくる彼。眼差しが、いつも以上に真剣だった
「リンが、俺を好きになってくれた。うれしい、本当に。でさ、それが分かったから。これからも仲良しでいようじゃない」
「うん。がっくんとわたし、恋人になったんだよね」
そこでわたしの前に跪く。両手がわたしの肩に乗る。真剣な瞳に打ち抜かれる。目を閉じて、首を横に振る彼
「『恋人』になるのは、キミがも~少し大人に成ってから、ね。それまでは『仲良し』さん。何時か、花火しながら言ったじゃない。ずっと一緒、仲良くしようって」
その言葉に、気持ちが沈む。不安になる
「がっくん。わたし、恋人にはなれないの」
無茶を言ったものだと、今は思う
「今は、ね、でも約束する。俺はいつもキミの側に居る。一番の『仲良しさん』で。キミがもっと大人に成る日まで。俺は必ず側に居る。キミが、俺に飽きない限り」
頬を両手で包んでくれる。やっぱり、彼が好きだと自覚する
「はっきり言う。超えなきゃならない壁、多い。しっかも高くてエッグイ壁じゃない。俺、大人。キミ、子供。俺とキミが『恋人』に成ったら、どうしても『後ろめなきゃ』ならないの。俺はイヤだ、大好きなキミと『後ろめたい』間柄なんて」
けれど辛い、彼の顔を観るのが。切ない表情を見ることが
「キミの歳じゃまだ、結婚出来ない。さっき言ったの覚えてる。俺『大人』キミ『子供』歳だけは、ね」
彼の顔、真実を言う彼の顔。つらい、つらい、とてもつらい。わたしはどれだけ迂闊に、彼を傷つけていたのだろう
「でもね、俺はキミが好き『キミ』が好きなの。どんなキミであっても。俺は大切にしたい、キミを。待ってくれないかな、リン。俺も待つ。キミが大人に成る日まで」
イタイ、イタイ、心が痛い。大好きな彼に、大好きと言ってくれた、優しい彼に。こんなにも辛い思いをさせる、わたし
「結婚ができるまで。二人で大切に、思い出作っていこいじゃない。キミとなら、きっと『壁』超えていけるはず。超えたとき『ああ、全部良い思い出だったね』って、きっと言えるはずだから」
「ん、わかった『何となく』わかった。そうなんだね、わたしとがっくん『恋人』はダメなんだね」
『解った』と言って『納得』はしていなかった。あの日はきっと。でも、彼を悪者にはしたくないから
「でも。待っててね、がっくん。約束だよ、待っててね、わたしが大人に成れる日まで。わたしと一番の仲良しさんでいて。いつもわたしが一番でいて」
聞き分けの良い『フリ』をした。紫の彼、何時かしたように、顔の前、小指を出す
「約束する、リン、俺はいつも一番の仲良しでいる。リン、大好きだ」
交わしてくれた指切り。そして
「今は、こんな事しか出来ないけど。俺の精一杯の好き表現。リン好き」
「ん、がっくん大好き。結婚、かなら―」
初めて、思い切り抱きしめてくれた。渾身の力で抱き返した。抱き返しながら泣いた『何となく』を思って。埋められない『差』を感じて。超えなければならない『壁』の壮絶さを考えて『結婚必ずしようね』とは言い終われずに。抱きしめられながら、思いっきり泣いた。泣いて泣いて、泣き喚いた
作品名:はじまりのあの日22 違和感の正体と告白 作家名:代打の代打