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はじまりのあの日23 それからの四年間

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なんて、声に出さない悲鳴をあげて。何度脚をバタバタとさせたことか。だからわたし、あの棒付きキャンディー、今でもまともに食べられない。あの二年間は、大人じゃない自分がもどかしくて。時の流れが焦れったくて。胸の奥が苦しくて。たまにみる、彼の表情。私と居るとき、ふと見せる表情。それをみる度、切なくて。でも、矛盾しているけれど。過ごす日々が、彼と過ごす日々が楽しくて。いつの間にか、わたしは『その歳』に成った。風鈴の涼やかな音。そういえば、マンションには無かったな『風鈴』何故だろう。いつの間にか、夏、定番になった音で、我に返る。記憶の轍からそれる。今に帰ってくる。天井を見上げる

「そう、此所は、わたしの家」

独り言ポツリ。見慣れた天井の木目、初めてまじまじと眺めた時は、模様のように思えた。わたしはここに居る。わたしは今、台所にいる。『彼ら』が建てた家の中『彼』の家の台所。そして『わたしの家』の台所。宴の準備を執り行う。TVの音、自分が発てる調理の音を聞きながら。わたしは今『神威の家』に『自分の家』の台所にいる―