二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

鳥籠の番(つがい) 9

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

数百ものミサイルやビームの中に、十発の核ミサイルを織り交ぜてアクシズへと放った。
『当たれ!』
ブライトが心の中で願う様に叫ぶ。


《ギュネイ!来たぞ!核ミサイルだけを確実に落とせ!》
《はい!アムロ大尉!》
《お前なら出来る、核の熱源を感知するんだ!》
ギュネイはアムロの言葉に目を閉じ、精神を集中させる。
そして、脳裏に熱を感じる。
「見えた!」
ギュネイはファンネルを放ち、核ミサイルに向ける。
「行け!ファンネル!」
ギュネイの意思を受けたファンネルは、縦横無尽に飛び交い、核ミサイルを撃ち落としていく。
《いいぞ!ギュネイ》
それを見届け、アムロもα・アジールのファンネルを放ち、ファンネルと共にビームライフルで核ミサイルを確実に撃ち落としていく。

「流石だな…」
その光景を艦橋から見つめ、シャアが笑みを浮かべる。
《核ミサイル全弾迎撃完了!、他ミサイルもα・アジールによって撃ち落とされていきます!》
オペレーターの言葉に、艦橋のクルー達から歓声が上がる。
そして、この作戦を立てた幹部が、α・アジールとヤクト・ドーガの動きに言葉を失う。
「どうだ?二機で充分だっただろう?」
「ええ…これ程とは…ニュータイプの力は…恐ろしいですな…」
「恐ろしい?…そうだな…」
シャアは少し眉を顰めながらも頷いた。


その頃、ラー・カイラムでもこの結果に艦橋が騒めく。
「全弾落とされただと!?」
「はい!α・アジールとヤクト・ドーガの二機によって全弾撃ち落とされました!」
「α・アジール…アムロか!」
ブライトは舌打ちをすると、唇を噛み締め、拳でシートを殴りつける。
戦闘宙域では、その光景をカミーユが見つめ、コンソールパネルに拳を叩きつける。
「くそっ!アムロさん!やってくれる!ジュドー!行くぞ!」
《了解!》
カミーユはνガンダムのアームレイカーを握り直すと、α・アジールに向けてバーニアを吹かす。そしてそれにジュドーのZガンダムが続く。
『アムロさん!』


レウルーラの艦橋のモニターに、アムロの顔が映し出される。
《大佐、核ミサイル全弾迎撃完了です》
「アムロ大尉、よくやった」
モニター越しに二人は見つめ合う。
と、その時、艦橋にナナイが現れた。その後ろには兵士二人に拘束された男が続く。
「ナナイ?」
「大佐、アムロ大尉を帰艦させて下さい!」
「どういう事だ?」
「このまま戦場に出していては危険です!」
《ナナイ大尉?》
モニター越しに、アムロもナナイを見つめる。
ナナイはモニターに映るアムロに気付き、急いで通信を終了させようとするが、一歩遅かった。
「アムロ・レイ!連邦の白い悪魔め!今こそ貴様を地獄に落としてやる!」
兵士に拘束された男がアムロに向かって叫ぶ。
「『ララァ・スン』だ!この名前をキーワードに貴様のマインドコントロールは解ける!」
《ララァ…・スン…?》
その名前を呟いた瞬間、アムロの身体に衝撃が走り、続いて激しい頭痛が襲う。
《う、わぁぁぁぁぁぁ!》
その叫び声に、シャアがモニターを凝視する。
「アムロ!?」
アムロは頭を抱え、激痛にのたうち回る。
《がっああああああ》
「アムロ!」
「そうだ!苦しめ!覚えているか?前に貴様が殺した兵士のデータを見せただろう!?あれは俺の父親だ!貴様が殺した俺の!その最期の瞬間を貴様は見ただろう!?あの恐怖を!苦しみをお前も味わえ!」
兵士に拘束された男は、あの時のニュータイプ研究所の研究員だった。
「はははは!そういえば、あの時、貴様は親父の死の瞬間まで同調して、心臓を止めちまったな!だが、あれくらいで済まさない!貴様にはもっと!もっと!苦しみを味あわせてやる!貴様が殺した多くのジオン兵の分まで!」
「なんだと!貴様があの時アムロを!?」
シャアは男に振り向き、怒りを露わにする。
あの時、アムロが心配停止に追い込まれた時、蘇生処置をした研究員こそが、アムロの命を脅かした張本人だったのだ。それを知り、シャアが男に掴み掛かる!
「ああ、そうだ!大体、総帥、なんでアイツを生かしている?アイツは過去に多くのジオン兵を殺し、ジオンの…スペースノイドの独立を妨害したんだぞ!なぜ、そんな男を生かしている?記憶が無いからか?ニュータイプが便利な殺戮兵器だからか?それにしてはアイツに入れ込み過ぎだろう?検査の度に、アイツの身体にはそこら中に紅い痕が付いてた!アイツとそういう関係だったんだろう!?最低だな!」
「…だからどうした?」
叫ぶ男に、シャアの絶対零度の視線が向けられる。
「っ!」
その突き刺さるような殺気に男が怯む。
しかし、ここまできたら男も引き下がれない。
「どうしただと?あんなヤツ殺せばいいだろう!苦しんで、もがき苦しんで死ねばいい!」
「アムロに何をした?」
「何って?マインドコントロールを徐々に解いてやったのさ、そして、あるキーワードによって完全に解除されるように操作した!『ララァ・スン』というキーワードでな!ナナイ所長にバレないようにするのに苦労したよ!」
「貴様!」
「マインドコントロールが完全に解ければ、強化処置で抑圧されたアイツの精神は崩壊する!」
「…どうしたら、もう一度マインドコントロールを掛けられる?」
男の胸ぐらを掴み、シャアが地を這うような声で問う。
「もう一度?無理だ。一度解けたマインドコントロールは二度と掛けられない!第一、アイツの精神が保たない、後は狂うだけだ!」
「貴様!」
シャアの殺気が溢れ出し、艦橋内を覆い尽くす。
「ひっ!」
あまりの殺気に男が硬直する。
そして、艦橋内もその殺気に静まり返った。
しかし次の瞬間、沈黙を破るように、アムロの絶叫がモニター越しに響き渡る。
《わぁぁぁぁぁぁぁ!》
「アムロ!」
モニターを振り返り、シャアが叫ぶ。
「ナナイ!どうにかならないか!?」
ナナイはモニター越しのアムロを見つめ、唇を噛み締めると、苦しげに首を横に振る。
「…どうにも…なりません…」
「はははははは!いい気味だ!」
高笑いする男を、怒りに任せてシャアが思い切り殴りつける。
その勢いで壁に激突すると、男はガクリと首を落とし、動かなくなった。
「ギュネイ!α・アジールを連れて帰艦しろ!」
アムロの側にいるであろうギュネイに向けて命令する。
《了解…わぁ!…》
しかし、すぐに通信が途切れる。
「ギュネイ!?」
モニターを見ると、ヤクト・ドーガがZガンダムの攻撃を受けていた。
そして、その横では、動かなくなったα・アジールに取り付くνガンダムの姿がある。
「ガンダムの…新型!?カミーユか!」


《アムロさん!アムロさん!返事をして下さい!》
動きを止めたα・アジールから、アムロの乱れた思惟と絶叫が聞こえる。
「あああああ!!!頭が…割れそうだ…ううう」
目の前が真っ赤になり、頭の中に過去の記憶が一気に流れ込んでくる。
「あっあっあ!」
子供の頃の記憶、一年戦争当時のホワイトベースでの記憶。そして、赤い彗星のシャアと戦った記憶。
「シャ…ア…!」
許容を超える勢いで流れ込んでくる記憶に、気が狂いそうになる。
そして、それに伴う激しい頭痛。
「あっぐぅぅ!」
作品名:鳥籠の番(つがい) 9 作家名:koyuho