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鳥籠の番(つがい) 10【完結】

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鳥籠の番 10


真っ暗な宇宙、飛び交う閃光。
戦場の中を、白い機体が流れるように翔んで行く。
いくつもの閃光が白い機体に向かって伸びていくが、それを舞うように躱しながら、ある一点を目指す。
赤と金に輝くオーラを持ち、誰よりも美しく、強く、そして脆い光を求めて。
『ああ、視えた…俺の…光…!』
νガンダムのスラスターの青い光が、宇宙に美しい軌跡を描いて伸びていく。
カミーユは、その光景を見つめ、目を細める。
『アムロさん…なんて綺麗なんだ…』
スラスターの青い光と共に、νガンダムから純白の光がキラキラと溢れ出し、宇宙を照らしていく。
おそらくそれは、ニュータイプにしか見えない命の光。アムロの、魂の輝き。
《カミーユ…なんだあれ…すげぇ綺麗だ…》
自分と同じ様にその輝き見つめるジュドーから、思わず感嘆の声が漏れる。
「ああ…本当に…綺麗だ…」
眩しく、美しく、そして力強い光。
その光が、赤と金の輝く光に向かって伸びていく。
「クワトロ大尉…、貴方が追い求めた光は…これなんですね…」
カミーユは、その輝きに胸が熱くなる。
そして、クワトロがひたすらに追い求めていたものが何だったのかを、ようやく理解出来たような気がした。

◇◇◇

レズン少尉率いる、ネオ・ジオンのモビルスーツ隊が、ロンド・ベル艦隊に向かって攻撃を仕掛けてくる。
ロンド・ベルのモビルスーツ隊の小隊長であるケーラは、レーダーに映る機影を確認すると、各機に指示を出す。
《来たぞ!全機攻撃態勢に入れ!》
《了解!》
敵の目をこちらに引き付け、ラー・カイラムの爆破部隊から目を反らせるのが、モビルスーツ隊の任務だ。
ケーラはヘルメットのバイザーを降ろすと、真っ直ぐに前を見据え、アームレイカーを強く握り、バーニアを吹かした。
《行くぞ‼︎》

ネオ・ジオン、ロンド・ベル双方のモビルスーツが絡み合い、ビームが飛び交う乱戦状態となる。
その中で、敵を倒しつつも、カミーユの意識はアムロとシャア向かっていた。


戦場を、νガンダムがスラスターを全開にして駆け抜ける。
ただひたすら、シャアを目指して。
「不思議だ…とても…静かだ…」
さっきまでの頭痛が嘘のように治まり、意識がクリアになっていく。
戦場の全てを把握しながらも、まるで別世界の出来事のように感じる。
それは、一年戦争での最終決戦、ア・バオア・クーでの出撃時も同じだった。
あの時も、ビームが飛び交う戦場の中で、何故か心は静かで、ただひたすらにア・バオア・クーを目指した。
モビルスーツで要塞に取り付き、最深部を攻撃する。
そんな、あまりにも無謀な作戦だったが、何故か出来ると思った。
今も、必ずシャアの元に辿り着けると確信している。
そして、そんな自分を、シャアが待っている事も。
「シャア…今、行く…!」
地球を背に黒く影を落とすアクシズ。その側にシャアの気配を感じる。
アムロは前を見据えると、更に加速してシャアを目指した。


アクシズを背に、シャアとギュネイがアムロを待ち受ける。
シャアはアムロの気配を感じながら、目を閉じる。
『来たな。アムロ!』

ギュネイは、前方かこちらに向かい来る、一つの光に目を奪われる。
「あれは…ガンダム…、アムロ大尉か!」
νガンダムの白い機体から、純白の光が溢れ出し、黒い宇宙を流れるように照らしていく。
「あの光は…何だ?サイコフレームの光か?…いや…違う…命の…光…?」
《ギュネイ!来るぞ》
シャアの言葉にハッとすると、ビームがすぐ横を通り抜ける。
すぐさま攻撃態勢に入り、ライフルを構える。
しかし、目の前に居たはずのνガンダムがいない。
「どこだ!?」
焦ったその瞬間、ヤクト・ドーガの右脚が撃ち抜かれる。
「何!?」
《ギュネイ、俺とシャアの邪魔をするな!》
接触通信で聞こえたアムロの声は、自分の知るアムロとは違う、別の男の様だった。
「アムロ大尉!」
《邪魔をするならお前でも撃つ!》
そう告げると、νガンダムはサザビーに向かってバーニアを吹かした。
「アムロ大尉…」

シャアは向かい来るνガンダムを見つめ、笑みを浮かべる。
「アムロ・レイ!待ちかねたぞ!さぁ来い!決着をつけるぞ!」
「シャア!!」
νガンダムは、体当たりをする勢いでサーベルを振り上げ、サザビーに斬りつける。
それをサザビーのサーベルが受け止め、押し返す。
そのまま激しくサーベルで打ち合い、一旦離れると、今度は互いのファンネルを解き放つ。
縦横無尽に飛び交う、それぞれのファンネルが、ビームを放ち攻撃する。
それを躱しながら、νガンダムのバルカン砲がサザビーを襲う。
「ふっやるな!アムロ」
バルカン砲を受けながらも、その大きな機体を左右に大きく動かして、今度はサザビーがガンダムに向かってライフルを撃ち放つ。
「シャア!」
それを素早い動きで避け、νガンダムもサザビーへとライフルを放つ。
そのビームがサザビーの右肩を撃ち抜くと同時に、サザビーのサーベルがνガンダムのライフルを切り裂いた。
「ちっ!シャアめ!」
爆発するライフルを素早く手放し、その場を離脱しながらサーベルを取り出す。
シャアもまた、エネルギー切れとなったライフルを捨て、サーベルを握る。
「その分だと、完全に記憶は戻った様だな」
「ああ、全部思い出したよ!シャア・アズナブル!」
「しかし遅かったな、アクシズは地球に落ちる!私の勝ちだ!」
アクシズの動力源に火が灯り、ゆっくりと加速を始める。
「まだだ!」

アムロ達が戦っている影では、ラー・カイラムの爆破部隊がアクシズへと侵入を果たし、爆弾を仕掛けていた。
「急げ!アクシズに火が入った!」
「もう少しです!」
爆弾を仕掛けるクルーの上に、戦闘の衝撃で崩れた天井が落ちて来て、数人のクルーが下敷きとなる。
「わぁぁぁ!」
爆破部隊も命懸けなのだ。仲間の死に唇を噛み締めて耐えながら、ブライト達は爆弾を仕掛けて行く。
最後の爆弾を仕掛け終わると、一斉にラー・カイラムへと撤収する。
「急げ!爆破に巻き込まれるぞ!」
「はい!」

アムロはサザビーと対峙しながらも、ラー・カイラムがアクシズを離脱するのを確認する。
『終わったか!』
「余所事を考えるとは余裕だな!」
サザビーの蹴りがνガンダムのヒットし、態勢が崩れる。
「くっ!」
しかし、間髪入れずパンチを繰り出し、サザビーの首のパイプ引き千切った。
「アクシズを絶対に止めてみせる!」
「お前に出来るか?アクシズのノズルに火が入った!もう遅い!」
「そんな事!」
「諦めろ、アムロ。この作戦は成功する。地球の引力に引かれた者たちを粛清し、スペースノイドは連邦の鎖から解き放たれるのだ!」
「貴様に従っていた『俺』は、それでもいいと思っていた、でも!今は違う!そんなのはただのエゴだ!人が人を粛清するなど、許されるものか!」
「そうしてお前はまた、その力を愚か者達のために使うと言うのか?」
類稀なるニュータイプ能力を持つアムロ。
それを地球の引力に引かれた、愚かなアースノイドの為に使う。
それがシャアには許せなかった。
「そうじゃない!シャア!こんな馬鹿な作戦を、貴様を止める為だ!」