彼方から 第一部 第七話
イザークは只ならぬ人の気配を感じ、その視線をドアへ向けた。
咄嗟に、いつも傍に置く剣に手を掛ける。
その小さな金属音とイザークの気配に、ノリコは目を覚ました。
「イザーク?」
半分寝ぼけながら、ベッドの上で剣を持ち、ドアを見据えたまま構えるイザークを見上げている。
ドアの向こう、部屋の場所が分かる程度に置かれた廊下の明かりの中、各々、手に剣を持った大勢の男たちが、二人の部屋の前に陣取っている。
宿番の男――ハンが鍵を手に、そのドアの前に立っている。
カシャン――と、乾いた音を立て、滑らかに回される鍵。
剣を手に、ドアを勢いよく開け放ち、数人の男たちが一気に、二人の部屋へと雪崩れ込んできた。
第八話へ続く
作品名:彼方から 第一部 第七話 作家名:自分らしく