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忘れないでいて【番外編】

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互いに激しく求め合った後、シーツに包まったアムロがシャアを見上げる。
そして、額に残る傷痕をそっと指で撫でる。
「あの時の傷だよな?痕が残っちゃったな。ごめん…」
「謝る事はない。それに、私も君に傷を残した」
クワトロはそっと、アムロの右肩の傷へと口付ける。
クローンには無かった傷痕に、シャアは間違いなく今、目の前にいるのがアムロ・レイなんだと安堵する。
「これは、私達が命を懸けて戦った証だ」
「……そうだな…」
そう頷きながら、アムロがクスリと笑う。
「なんだ?」
「いや…まさか、貴方とこういう関係になるとは思わなかったから…」
「そうか?」
「え?」
シャアの思わぬ返しに驚く。
「私は、君とこういう関係になっても不思議では無かった」
「え?そ、そうなのか?」
「ああ、サイド6で会った君を、私は忘れられなかった。戸惑いながらも、真っ直ぐに私を見つめるこの瞳が印象的だった。とても、美しいと思った」
頬に手を添えながら、優しい笑顔で見つめるシャアに思わずドキリとする。
「あ、貴方って、歯の浮きそうなセリフを平気で言うよね…」
顔を真っ赤にするアムロを、シャアが優しく抱きしめる。
「君に、だからだ」
その抱擁にドキドキしながらも、暖かい胸にホッとする。
「……そういえば…、あの子を弔ってくれて…ありがとう…」
カイやハヤト、レコア達とブリッジで話している時、他のクルー達が自分をチラチラと見ては怪訝な顔をしていた。
何故だろうとハヤトに確認したら、カラバに合流した際、シャア達はアムロのクローンの亡骸を伴って合流したのだという。
それを聞き、納得がいった。
子供の姿とはいえ、弔った筈の同じ人間が現れたのだ。理由を聞いていたハヤトはともかく、何も知らない人間が見れば、驚くのも無理はない。
「でも、よくあれがクローンで、でも中身が俺本人だって分かったね。俺自身が分かっていなかったのに…」
カイとシャアは初めから、彼がアムロ本人ではなく、クローンだと分かっていたらしい。
そして、その中身が何故か本物のアムロである事も。
流石にカイは初め、確信が持てず、自身とアムロしか知らない質問をして確かめたらしいが。
「貴方は初めから分かっていたの?」
「そうだな、あの水槽に入っているのがクローンだと言う事は一目見て分かった。そして、君と目が合った瞬間、中身は君本人だと確信した」
「何故?」
「身体は…私の刻んだこの傷が無かったからな。中身は、直感だ。いや、君を感じた。この感覚はモビルスーツ越しでも分かる」
「モビルスーツ越しでも…か、その感覚は分かるかも。俺も、貴方なら、どのモビルスーツに乗っていても分かる」
「だろう?」
「…でも…あの子には可哀想なことをした…。あの子にだって自我はあった。でも、俺が乗っ取ってしまった。…いや、混ざり合って…融合してしまったと言った方が正しいかな…」
「そうなのか?」
「ああ、あの時、気付いたらあの子の中にいた。あの子の記憶と、俺の記憶が混ざり合って…そのせいか、俺の記憶は十六歳の時までのものしか無かった」
アムロはそっと自身の手を見つめる。
「流石に、大人になったカイさんを見て、自分が時間に取り残されてしまったんだって知った時は、ショックだったな」
「アムロ…」
「ふふ、でも、カイさんにも驚いたけど、あの時、ハヤトに会ってたら、もっと驚いたかも。アイツ、すっごい貫禄のある親父になってた。まぁ、実際に三人の養父だけど。あれでも俺と同い年なんだぜ?」
アムロの言葉に、シャアが目を見開く。
「そうなのか?」
二十三歳の大人のなったとは言え、童顔なアムロは随分と若く見える。
それに引きかえ、ハヤトの方は、一家の大黒柱だと言う貫禄だろうか、実年齢よりも老けて見える。
「びっくりだろう?」
「あ、ああ…」
「貴方は…実際に会ったのは二回だけだからよく分からないけど、こんなに大きかったかなぁ」
シャアの胸板をトントンと叩いたり、撫でたりしながら、自身とはまるで違う、厚い胸板に首を傾げる。
そんなアムロにクスリと笑う。
「誘っているのか?」
「え?」
「まだ時間はあるな」
そう言うと、アムロをコロンと転がし、上から覆い被さる。
「お、おい!」
「私に触れて、ちゃんと思い出してくれ」
そう言いながら、シャアはアムロの首筋へと唇を落とした。

◇◇◇

その後、シャアに請われるまま、アムロは宇宙へと上がり、ブライトの待つアーガマへと合流した。

「あれ?ブライトさん、時が止まってる?」
「はぁ?」
「だって七年前と全く変わってない」
元々老け顔だったブライトの、あまりの変化の無さに、アムロは思わず驚く。
「あの時、会ったのがカイさんじゃなくて、ブライトさんだったら、俺、自分が成長してないって事に気付かなかったかも」
「何言ってるんだ?アムロ」
状況の分からないブライトが、首を傾げて疑問の声を上げる。
それを見て、クワトロとカミーユ、そしてレコアが、顔を見合わせて笑い出す。
「お、おい。お前たちも一体何のことだ?って俺はバカにされてるのか?」
「そんな事はないさ。艦長」
そう言いながらも、クワトロが笑いを堪えきれずに肩を震わせる。
いつもどこか、表面だけの笑いしか浮かべないクワトロの、珍しい本物の笑いに、ブライトだけでなく、艦橋のクルーが心底驚いていたとアムロが聞いたのは、暫く経ってからの話。



end


本物のアムロさん、無事合流です!
でも、ブライトさんって、姿も制服も本当にあんまり変わらない。
作品名:忘れないでいて【番外編】 作家名:koyuho