彼方から 第一部 第十話
凄まじい速さで駆け抜け、立ち並ぶ、人の背の何十倍もあるような大岩を次々に、そして軽々と飛び越えてゆく。
盗賊の根城へと、向かって――
少しだけ開いたドアから顔を覗かせ、ノリコはどうしたら良いか分からず、まだ、辺りを見回している。
――目が覚めたら、イザークがいなかった……
――おいてけぼりにされて、二度と会えなくなるような気がして
――その時あたしは、すごく不安になった……
イザークと出会ってから僅かに三日――彼女は初めて、一人にされたのだ。
最終話へ続く
作品名:彼方から 第一部 第十話 作家名:自分らしく