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願い

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「なんだ、これ……」
ビルも倒れ、岩が転がり、ただ荒廃しているこの地。
「……お前の居たところは、こんなに荒れ果てた所なのか?」
別に来たこともない。ただエッグマンは言い張るのだ。ここが、オレの住む未来世界「クライシスシティ」と同じ場所だと。
オレの住む「クライシスシティ」はこんなものではない。空は晴れ、みんな笑いながら生きている場所だった。
──だから、普通ならこんなこと『そんなわけないだろう』だけで済まされることだ。オレもそうだと思いたかった。

「そんなわけ、ッ」

──しかし、その荒廃した風景はオレの心を強く揺るがすものだった。その意味は理解できないが、それはオレに激しく訴えかける。その訴えにより生じた衝動は、オレの心のどこにも無い記憶を呼び覚まそうとしている。
冷静になろうと頭を働かせようとしても、まるで恐怖に操られたかのように思考は乱れていく。

(違う、違う。)

頬に冷や汗が尋常ではない程に流れ出る。

「違う。オレの街はっ、こんな悲しい場所じゃない……」

そう、自分に言い聞かせた。自分じゃない自分が生まれてくるような気がして、身体の先から先まで震える。
「シルバー?」
オレの異変に気づいたブレイズが振り向く。その姿が、”何か”と重なった。

──────────────────

痛みと疲労と炎の逆光せいか、__の顔は見ることが出来なかった。───何度呼び掛けても止まらない。時間だけが過ぎ、その結果彼女を止めようと必死に伸ばした手は空を切ることになった。
『頑張れよ、シルバー』
彼女の遺言。
その一言がオレの心に酷くのしかかり、離れない。空は綺麗になって世界に平和が訪れても、心はいつまでも曇ったままだった。

──────────────────

その瞬間、突然目眩と激しい頭痛が襲う。どこにもない筈の記憶が酷く心に訴えるのだ。慌てて近寄ってくる彼女の姿を見る度にその忌々しい記憶と重なり、脳裏と視界をぐちゃぐちゃに掻き混ぜて行く。
「──ごめん、ブレイズ」
自然と零れたその一言を、まるで他人の発した言葉のように聞き流しながら、オレは意識を手放した。

作品名:願い 作家名:故.