雫 3
しかし、嫉妬心が無いかと言えば嘘になる。
「アムロ…すまないと思うのならば、私に君を抱かせてくれないか?」
一瞬顔を上げ、動揺を見せたアムロだったが、シャアのその願いに、コクリと頷いた。
「…ありがとう…」
シャアの求めるまま、全てを捧げたアムロは、愛する人の温もりに歓びを感じながらも、フロンタルへの赦罪の想いが込み上げる。
『ごめん…フロンタル…』
そんなアムロの想いも、シャアは受け止める。
『良いんだ、アムロ。彼は理解っているから…』
◇
翌日、どこか吹っ切れた表情の二人を見つめ、カミーユが小さく溜め息をつきながら微笑む。
「どうやら、落ち着くとこに収まったみたいですね」
全てを見透かすようなカミーユに、アムロは顔を真っ赤に染め、シャアは晴々とした表情でカミーユに向き合う。
「ああ、そんなところだ」
そんなシャアを、カミーユが真面目な顔で真っ直ぐに見据える。
「もう、馬鹿な事は考えていないんでしょう?」
その問いに、シャアはコクリと頷く。
「ああ。私達はもう翼を失ってしまったからな」
「…シャア…」
何とも言えない表情で見上げるアムロの肩を抱き、全てを悟った様な柔らかな笑顔でカミーユに答える。
「それに、未来は若者達が切り拓いていくものだ」
アムロの脳裏に、メガラニカから演説をするミネバの姿と、バナージの姿が蘇る。
未来はきっと、彼らが切り拓いていってくれる…。
end
『雫』完結です。
スキマスイッチの『雫』という曲が今回のテーマソングでした。
この曲を聴きながら、シャアとアムロ、フロンタルの想いを思い浮かべてお話を考えました。
初めてフロアムに挑戦してみたのですが、思ったよりも楽しく、またユニコーンのコミックスを(一部だけですが)読み直し、ファーストはユニコーンは繋がっているんだなぁと、しみじみ感じました。
また機会があれば、フロアムに挑戦したいと思います。
koyuho
2019.4.7