On s'en va ~さぁ、行こう!~ 後編
悶々と頭を抱えるシュラを、不思議そうに眺めるカミュ。自分はシュラを悩ませるような事を尋ねただろうか?
「シュラ、一体何が……」
「マスター、グラスワインもう一杯!」
やけっぱちなオーダーの出し方である。
二杯目の赤ワインをあおり、自分は幻覚を見たと思い込みたいシュラ。
カミュにどう答えたらいいかわからなかったが、程なく彼は問いに対する回答の必要を失った。
バァンッ!と重いドアが開き、Tシャツにジーンズというここにはとてもそぐわない身なりの若者が、ニコニコと店の奥を見つめている。
……カミュはシュラの悶絶の理由を悟った。
できる事なら、自分もシュラと共に頭を抱えて悶絶したかった。
ジーンズの若者はつかつかと店の奥の自分達の席に近付くと、屈託ない笑顔でこう告げた。
「カミュ、見つけた!」
「どうしてここにいる……ミロ……」
そう、グラン・カジノの厳重な警備を突破して自分達の目の前にいる人物。
シュラもカミュもよく知っているこの人物。
黄金聖闘士、蠍座のミロであった。
作品名:On s'en va ~さぁ、行こう!~ 後編 作家名:あまみ