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さみしさの後ろのほう 11~15

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11

私が引き籠もった理由って、本田家が荒れたからだったんです。私の父よりお金を持っていたおじさんが、次の頭首は私じゃなくておじさんの子が良いって。いつまでそんな古臭い制度に拘ってるんだって。それを機に、色んな人の不満が押さえ切れなくなってしまった。
私は怖くなってしまいました。優しくしてくれた筈のおじさんに日本刀で斬り殺される夢を毎晩のように見ました。今思うと馬鹿馬鹿しいですけど、それがいつか本当になるのではと私は怖かった。
学校に行かなくなりました。通学路の闇が怖い。外に出なくなりました。誰か待ち構えているような気がして。自分の部屋に閉じ籠るようになりました。豹変した親類に会いたくなかったから。両親以外の人を信用出来なくなった。
そんな時帝さんが私の家に来たんです。当時帝さんは中学生になったばかりでしたが、良い私立校に通う為、親元を離れ、今の家に一人暮らししていました。
自分の部屋にすら居たく無い時、私の所に来なさい。その間、私が“菊”になって差し上げます。そう、帝さんは言ってくれました。
私はよく帝さんの家に行きました。彼はよく“菊”になりました。やがて菊は後継ぎに足る人物だと認められ、平和が戻りました。真相を知るのは私達と私の両親だけ。
そこまで一息に菊は話した。そして、躊躇った後、震える声で後悔してますと続けた。

「帝さんだって私と一つ違い。“菊”になる事は怖かったに決まってます。そして未だに私は甘えてしまっている。……だから、他人任せと言われてしまうかもしれないけれど、嬉しかった。貴方と帝さんが付き合い始めたと聞いた時、帝さんにも甘えられる人が出来たと」

だから彼の事お願いしますと菊は頭を下げた。でも、俺、甘えられてるのか?甘やかしてやれてるのか?

「なあ、もしそれがバレたらどうなる?」

不意に口を付いた言葉に菊が凍り付いた。
けれど、許して欲しい。俺だって切羽詰まっていた。
この前のぬいぐるみぐらいしか、思い当たるものが無かったのだから。