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One Shot 2 Shot

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なんだか、喋るのすら疲れる。
「お前にはギャンブルは向かん。一発逆転というのなら、何か別の方法を見つけるのだな」
そう言い残し、天蠍宮を去っていくシュラ。
つまんねー奴!とミロは不貞腐れたように叫ぶと、シュラが置いていったJPSを1本抜きくわえて火をつけようとした。
別に、煙草は止めたわけじゃない。金がかかるから吸わないだけだ。
と、ミロは唇に煙草を挟んだ後で、重要な事に気付く。
「……俺の宮、ライターもマッチもない……」
どうせもう煙草を吸う機会はないのだからと、喫煙者連中に売ってしまったのである。
しまった、何てこった!
しばらく考えた後、台所のガスレンジで点火する事を思いついた彼は、ソファから起き上がった。
「おい、ミロ。俺の煙草はあるか?」
忘れ物に気付いたシュラが、再び天蠍宮のリビングに姿を見せる。
一服中だったミロはくわえ煙草のまま台所から出ると、心底意外そうに、
「忘れていったのか?置いていったのかと思ったが」
「バカ言え!今日日煙草も高いんだ!」
ミロの手からJPSの箱を奪い取ったシュラは、そこから2,3本抜き、今の今まで箱が収まっていた場所に落とす。
「それくらいなら、分けてやる」
「お、すまないなー」
途端に、ミロの顔に笑顔の花が咲く。
シュラは邪魔したなと言い残すと、今度こそ磨羯宮に戻っていった。

帰る道すがら、シュラはミロの言葉を頭の中で反芻する。
「確かに、そうだな。あいつの技は一発ドン!といったものではない」
銀河を爆発させるわけでなし、1億発のパンチが一瞬で飛んでくるわけでなし、大いなる星屑に巻き込まれるわけでなし、鋭利な拳で斬られるわけでもなし。
同僚たちのような派手な破壊技を持たないが故に、ミロが他の何かでカタルシスを感じてみたいと願うのも、まぁ理解できない話ではない。
「……あいつの場合、ギャンブルでカタルシスを感じる前に、自分が破滅しているからな」
そのため給料日も二週間を過ぎると、白羊宮で食事をする回数が多くなる。
食費が足りなくなるからだ。
ふう……と肩で息を吐いたシュラは、
「奴にカジノで勝つ方法を伝授するのと、一撃必殺の大技を習得するために修業させるのと、どちらが骨だろうな」
口の中で呟くと、コキコキッと首を鳴らした。

なお、この蠍座の聖闘士の本音を噂で聞いたアイオロスが、
「ならば新しい技を編み出すために、修業すれば良かろう。このアイオロス、喜んで協力するぞ」
と指の骨を鳴らしミロを震え上がらせたのは、この3日後の話である。
作品名:One Shot 2 Shot 作家名:あまみ