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『掌に絆つないで』第二章

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Act.10 [コエンマ] 2019.6.19更新


「アイツらは氷河の国へ行ったぞ」
辿りついた移動要塞『百足』の客室で、躯はさらりと言いのけた。
「氷河の国へ…?」
日頃から捜索に手間のかかる彼だが、今回もまたこちらを嘲笑うかのごとく難解な地へと足を運んだらしい。今度は魔界の中でも、そう易々と近づくことの出来ない空飛ぶ島だ。躯の元に行けば会えると安易に考えていたため、彼らの落胆は大きかった。
「……こんなときに……! いったい氷河の国へ何をしに……」
「それがな、妙なんだ。飛影の母親が生き返ったとかなんとか」
躯の一言に、コエンマたちは顔を見合わせた。直後、「それだ!!」と大声を発したため、躯も傍にいた北神も面食らった様子で瞬きを繰り返した。
「飛影の望み…そうか、死んだ母親を生き返らせることだったのだな」
「ということは、氷河の国へ行って飛影の母親に会えば、冥界玉のエネルギーも回収できますね!」
「うむ」
歓喜に沸く霊界の者たちを前に、躯は再び瞬きながら、質問を投げかけようとした。そのとき、要塞に近づいてくる妖気に気づく。
「運がいいな。戻ってきたようだぞ」
躯の後に続いてコエンマたちが屋外に出ると、頭上から霊界獣が舞い降りた。
「あれー? コエンマ? なんでこんなとこにいるんだよ」
霊界獣から身軽に飛び降りた幽助は意外な面子に驚きつつ、霊界獣の背に残った雪菜の手を引いて降ろしてやっていた。
「いいタイミングで帰ってきたな、幽助! 飛影は………、どこにおるのだ?」
「それがよ、飛影、いなくなっちまったんだよ」
「……な……なんだとーー!?」
期待を裏切る報告が度重なり、またしてもコエンマは大声を発する。
「なんだよ! うっせえな!!」
「で、どこにいったんじゃ!?」
「オレらもわかんねーから、ここに戻ってんのかと思って探しに来たんだ」
隣室で母親と向き合っていたはずの飛影は、母親と共に忽然と姿を消し去ったのだと幽助が説明する。飛影だけならまだしも、本来の目的である母親の姿もないとなれば、コエンマたちは焦らずにいられなかった。
「一刻も早く飛影を見つけるのだ、幽助!」
「なんだよ、何かあったのかよ?」
「飛影も持っておるのだ、冥界玉を。いや、もう持ってはないんだが………っ」
「はあ? なに言ってんだよ」
「とりあえず落ち着け、コエンマ。話を聞こうじゃないか」
事情を説明する暇はないと言いたいところだが、なんの相談もなく協力を得られるはずもない。躯に肩を叩かれ我に返ったコエンマは、冥界の事情にもっとも詳しいひなげしを促し、今の状況を説明させることにした。