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日常ワンカット

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F1観戦の帰り道編


グレーのスタンドカラーのシャツに、黒の細身のスラックス。
その上に濃紺のショートコートを羽織った姿は、ファッション雑誌のモデルかくやだ。
均整の取れたプロポーションに、絵から抜け出したような、絵に描いたような、そんな恐ろしく綺麗な顔が乗っかっている。
街中のオープンカフェでカプチーノを飲む仕草すら美しくて、道行く人々はその奇跡的な光景に視線を奪われていた。
「……さっきから随分と見られているな、お前」
隣の席に腰掛けていた男が、その美しい人物に声をかけた。まるでからかうような調子で。
同席の相手とは対照的に、この男にはさして特徴がなかった。
黒い髪、三白眼気味の目。気配も印象も薄くて、どうにも記憶に残らない。
すると美しい人物は、少々苛立ったような口調で、
「だから私は、別のカフェにしようと言ったんだ。オープンカフェは苦手だね!人にじろじろ見られる」
白い頬が若干引き攣っている。
「サングラスはどうした。かけていないお前にも責任があるだろう」
「どこかの誰かさんに壊されたのでね。決勝のアロンソポディウムに興奮しすぎて、私のサングラスをつかみ上げ見事に握りつぶしたのは、どこの誰だい?」
男は無言で、カップに口を付けた。何も、言い返せなかった。
作品名:日常ワンカット 作家名:あまみ