二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

日常ワンカット

INDEX|3ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 

双魚宮編


アフロディーテはスウェーデン人だが、フランス語とイタリア語ができる。
偽教皇時代のサガが美しいこの聖闘士を社交界に連れ回したため、アフロディーテはフランス語の重要性を悟り、隣人のカミュに手伝ってもらって会話習得に励んだのである。
おかげで、モナコに行ってもベルギーに行っても、言葉には不自由しない。やはり語学は学んでおいて損はない。
イタリア語は、聖域に出向したばかりの頃にデスマスクに散々虐められたので、言い返すために覚えた。
この頃はギリシャ語がまだまだ上手くなかったので咄嗟に出る言葉が母国語になってしまい、デスマスクに更に馬鹿にされた。
その度にアフロディーテは、綺麗な顔を悔しさでくしゃくしゃにして双魚宮に戻ったものである。
「絶対にどうにかしてやる」
見た目よりもずっと負けん気の強いアフロディーテは、必死でイタリア語を学んだ。
サガもイタリア語ができたので、彼に協力してもらって練習したが、アフロディーテは慣れない巻舌発音に舌を噛む毎日だった。
こうして四苦八苦しつつようやく会話がものになったある日。
アフロディーテは気付いた。
「私は言語学習ばかりで、聖闘士としての修練がおろそかになっているのではないか」
無論、最低限のトレーニングは積んでいる。だがそれはあくまで、『最低限』でしかない。
アイオリアのように、暇さえあれば組み手をしているというレベルではない。
……ひょっとして、今の自分は黄金聖闘士最弱になっているのではないか。
そんな不安が胸を過る。
「……たまには手合わせを頼むか」
こういう頼み事を比較的すんなり聞いてくれそうなアルデバランの元へ出向くアフロディーテ。
ところがアルデバランは、金牛宮で瞑想中だった。(実は昼寝)
「アルデバラン、瞑想中すまない。体が鈍ってしまうので、少し相手をしてくれないか?」
アルデバランの瞼がゆっくりと開き、ぼやけた視線でアフロディーテを確認する。
そして、寝起き特有のだるい声で、一言。
「こんな綺麗な女性、見た事がない」
作品名:日常ワンカット 作家名:あまみ