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楽しい羊一家 その2

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誰もいない朝


今日は朝からシオンも貴鬼もいない。
シオンはアイオロスを伴って出張、貴鬼は老師の家に泊まりに行っている。
紫龍が面倒を見ている畑でサツマイモが収穫できるというので、昨日から芋掘りに出掛けている。
……そんなわけで、現在白羊宮はムウ一人である。
「一人なんて、久々ですねぇ」
いつもより遅く起きたムウは、洗濯物をドラム式洗濯機の中に叩き込みながらそう呟く。
遅く起きたとはいっても、7時起床だが。
昨夜から自分一人なので、洗濯物も大した事はない。
いつもは洗濯機に入り切らないくらいなのに、今日は盥と洗濯板で洗おうかと考えてしまうほどに、少ない。
「……少し無駄でしたでしょうか」
最小水量の水で洗い始める洗濯機を眺めながら、ちょっとだけ後悔する。
洗濯機が回り始めたところで、台所へ。
冷蔵庫の中をのぞき、朝食の支度をする。
とはいっても、今日は一人分の食事が朝昼晩と確保されていればよい。
「そうですねぇ」
タッパーの中に入っていた残りご飯や少しずつ余っていた野菜や肉、古めの卵を取り出すと、手早くチャーハンを作る。
チャーハンは、残り物を使ってもそれなりに美味しく作れるからいい。
皿に盛りつけ、昨日の夕食だったミネストローネと一緒に食べる。
毎朝それなりに凝ったものを作る本日ムウの朝食は、冷蔵庫の片付けであった。
ハウスキーパーが一人で食事をするとなると、どこもそんなものだろう。
……いや、それでも、ミロやシュラよりはマシなものを食べている自信はある。
「一昨日のミロは、朝昼晩とコーンシリアルだったようですからねぇ」
ため息をつくように呟いたムウは、ほかほかと湯気を立てるチャーハンを口に運んだ。
作品名:楽しい羊一家 その2 作家名:あまみ