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彼方から 第二部 第八話

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 無責任だなと言わんばかりの表情で、歩きながら振り返るバーナダムに、
「あら、でも、占者のジーナも無事だって、言っていたわよ?」
 エイジュはにっこりと微笑んでそう返した。
「そういや、そうだったね」
 ガーヤは納得したように、前を行くアゴル親子を見やった。
「それに、男としてどうなの? あなただったら、女が危ない目に遭っているのを見て、放って置けるの?」
「そんなこと、出来るわけないだろ!」
 エイジュにそう言われ、バーナダムは振り返りながら、半ば怒鳴るように言葉を返していた。
「だったら、イザークだって同じだよ、バーナダム……大丈夫、イザークは優しい子だし、人を見捨てるような子でもない。あたしが保証する、信用してやんな」
「……ガーヤ……」
 少なくとも、ついこの間、ナーダの城の牢屋で会ったばかりの自分よりは、ガーヤの方がイザークのことを良く知っていることは確かだろう。
 彼女の大らかで温かな笑みを見ていると、不思議と、心が落ち着いてくる。
「……分かったよ」
バーナダムはそう返し、頷くと、アゴル親子の後を黙ってついて歩き始めた。
 二人は彼の背中を見やり、互いに顔を見合わせた後、にっこりと微笑み合った。
「やれやれ、だね」
「フフッ……ご苦労様」
「あんたもね」
 互いに労い、二人はもう一度、微笑み合った。


 ――そう、大丈夫……
 ――彼は、イザークはきっと、ノリコを護るわ
 ――たとえ……どんなことになろうとも……

 ――そしてそれは
 ――今の二人にとって、必要なこと
 ――だから『あちら側』は、あたしを『制した』のでしょう?

 ――そういう……ことなのでしょう?

 微笑み合いながら、仲睦まじく皆を先導するアゴル親子。
 二人の笑顔を、その背中を見やりながら、エイジュは想いを籠め、胸に指先を当てていた。


                    第二部 最終話へ続く