晴れた日の過ごし方 1
ギルバートはテーブルの向かいから身を乗り出すと、白く細い女性のような指でアンナの涙を拭った。
「アンナ、涙って嬉しくても出るんだよ」
美しい指のひんやりとした感触が、妙に心地よい。
アンナはそっとギルバートの指に手をかけると、静かに頬に当てた。
「ありがとう、ギルバート。大好きよ」
アンナはこの日、憧れにも似た恋心を成就させたのだが、ギルバートとの交際の最大の障壁がまだ残っている事を、彼女は幸せのあまりすっかり忘れていた。
━━━━━━その障壁とは……。
作品名:晴れた日の過ごし方 1 作家名:あまみ